イタリアの渋いツイード

SARTO

こんにちは。

何か格好良い生地が無いかと常日頃探していて、気に入ったものがあれば、いつ仕立てるかは分からないけどとりあえず買う、ということを覚えてしまったせいで、家に生地がどんどん増えていっています。

以前に見たつけたこちらのツイード生地で何かを作ることを決め、その仕様をあれこれ考えてみたので、紹介させて頂きます。

生地について

この生地は、Lanificio Camporeという生地屋のものです。

Lanificio Camporeは、イタリアのミル(生地を織るメーカー)で1830年創業の超老舗のようです。

私は同社の生地は、このツイード以外触ったことがないので生地屋としての特徴などは分かりませんが、

このツイードに関していえば、比較的薄手の粗野なツイード、といった触り心地でした。

生地の重さは分かりませんが、400g台な気がします。

粗野な、と言ったのは、とてもチクチクするからです。笑

ツイードなので当然ですが、それにしてもチクチクで、何を作るにしても、総裏地は必須です。

とにかくこの色柄に惹かれました。

最高に渋い色使い、定番のヘリンボーン柄。何を作っても格好良くなりそうです。

何を作るか

さて、この生地で何を作るか。

単品のテーラードジャケットがまず思い浮かびます。

上下セットアップも間違いなく格好良さそう、でもコスプレ感が出かねない。

(残念ながら上下で作るには生地が足りませんでした。)

カジュアルなサファリ系ジャケットも相性が良さそう。

私の場合の話ですが、ツイードは冬に外で着るにはピッタリですが、暖房の効いた室内では暑すぎることがあるので、仕事で着る機会は少ないです。

なので休日で着るのがメインとなり、そう考えるとサファリ系が良いかもしれません。

ツイード生地は比較的丈夫ですし、休日にツイードサファリを着て子供と遊ぶ、なんてのも憧れます。

しかし、あまりにチクチクすぎて、子供を抱っこしたら泣かれそうな気がして、子供と遊ぶときに使うのは諦めた方が良さそう。

結局つまらない結論で、単品テーラードジャケットにすることにします。

ツイードなら、サファリ系でなく、テーラードジャケットだとしても、山で虫取りは無理でも、公園でフリスビー、くらいは出来そうですし。

ベント

テーラードジャケットと決まれば、後はあまり決めることはありません。

まずはシングルの3つボタン段返り。

3つボタン段返り

2つボタンもクラシックで格好良いですが、そんなに強いこだわりはないので、今回は3つボタンにします。

2つボタン

ベントは、一般的にはサイドベンツだと思います。

ですが、何故かノーベントが好きなので、今回もノーベントにしようと思います。

別のノーベントジャケット

スポーティ (=機能的) なツイードジャケットに、フォーマル (=美しさ重視) なノーベントというのはミスマッチですし、仮に将来気が変わったとして、サイドベンツ→ノーベント、に直すことは出来ても、その逆は出来ません。

にも関わらず、ノーベントを選択するのはリスクです。

私はブレないマイスタイルを作りたいと考えていますが、ノーベントを好きで貫き通せるかは分かりません。

いつか飽きるかもしれません。

でも、今はノーベントが好きなのです。

ポケット

続いてポケットについて。

今までは、フラップ無しの切りポケット、別の言い方ではジェットポケット、両玉縁ポケットを多く選択してきました。

最もシンプルで潔い感じが好きです。

自分で辿り着いた好みというよりは、師匠とするドルソの齋藤さんがこのポケットを好んでおられ、師匠の好みに引っ張られているという側面が大きいのですが。

DORSOでオーダーしたジャケット

一般的には、ツイードジャケットには、フラップ付き切りポケットもしくはパッチポケットだと思います。

フラップ付き切りポケット
パッチポケット

スポーティ(=機能的)なツイードジャケットには、同じくスポーティなポケットが相性は良いはずです。

フラップ付きは、ポケットにアクセスする際に邪魔に感じることがあるので、少し苦手です。

今まで通りの切りポケットフラップ無しにしようとも思いましたが、たまには気分を変えてパッチポケットにすることにします。

パッチポケットのイメージ

裏地、ボタン

裏地はチクチクするので総裏地以外の選択肢はありません。

裏地の色は生地の色から拾って地味目にするのが好きなので、選択肢はオリーブかダークブラウン。

オリーブだと、全体的に緑でぼんやりするので、ある程度のコントラストがあるダークブラウンの方が良いと考えました。

左上のオリーブの裏地か(25番)
右下のダークブラウンの裏地か(20番)

ボタンは、ナットボタンにします。

カントリーなツイードには、同じくカントリー感のあるナットボタンでテイストを揃えるアプローチか、

ツイードにナットボタン

ドレッシーなホーンボタンを合わせて、ツイードの粗野な印象を、テーラードジャケットらしく少しドレッシーに格上げするというアプローチがあると思いますが、

ツイードにホーンボタン

今はナットボタンにハマっております。

色は、裏地と同じ考えで、生地の色から拾うのが基本だと思います。

無難なのは、濃いめのブラウンでしょうか。

しかし、オリーブのジャケットには、茶靴はもちろん、黒靴も合わせたいと考えており、

そうなるとなるべく茶色感の少ない、靴の色を問わない感じのボタンの色があれば理想的です。

左下のライトブラウンは確実に茶靴しか合わない。

グレー系のナットボタンが、グレーの中にほんのりブラウンを感じるような色合いで、茶靴も黒靴もいけそうな感じでピンときました。

ブラウンではない方の2つのボタンは両方ともグレー系ですが、下の方が濃いです。今回は生地の色も濃いめですし、1段階濃いグレーの、右下のボタンにしてみます。

細かなフィッティング、サイズ感も、自分自身の勉強のために、実験としてわずかに変えてみますが、2、3ミリ程度の変化なのと、個人ケース過ぎてつまらないので、省略します。

ちなみに、今回も生地を事前に水洗いしています。着用を重ねて汚れが蓄積していったら、水洗いしないと気が済まず、その際にジャケットが縮んでしまうのが嫌だからです。

リネンと違ってウールには油分が含まれているので、水洗いをするとパサパサになってしまうリスクはあります。

通常の生地水洗いでは、洗剤は使わない方が良いですが、今回間違えて洗剤を投入してしまいました。なので余計に油分が抜けてしまったと思います。

でもツイードは丈夫なので、きっと大丈夫だと信じることにします。

完成したらまた報告させてください。

以上です。

ありがとうございました。

コメント

  1. Ogden Moleaw より:

    一番のハイライトは事前水洗いに洗剤が入ってしまったことですね。ウールは濡れた状態での摩擦に極端に弱く、洗濯機から取り出したらかなり注意しながら仕立てまで持ち込む必要がありそうです。
    また、ツイードのサファリジャケットはかなり危険だったと思います。サファリウェアはツイードとは相性が悪く、ウール生地ならトロピカルウールのほうが適していただろうと思いますので、却下してよかった気がします。どちらかといえば、ツイードではノーフォークジャケット(もしくはその要素を部分的に導入してハーフノーフォークジャケットとするなど)を持つほうがよかったでしょうし、スポーツコート(ラウンジジャケット)ばかりでは適さない場もありうるなら検討する価値はあります。きっと大活躍です。
    ボタンについても色々考えていたようですが、もしもホーンボタンを使うなら磨かれていないものを使うとかなりよい組み合わせだと思います。今時の綺麗に磨かれたホーンボタンより歴史も長いですし、そのような昔はホーンボタンはむしろ素朴すぎてドレッシーなスーツに合わせられることはありえなかったようですからね。全般的にホーンはそれほどクラシックでもフォーマルでもないよなーくらいの認識を持っています。フロントのボタンの数はクラシックな3つでツイード生地にもピッタリだと思います。個人的には段返りアンチですが、本当に個人の好みの範囲なのでそれほど問題なくできるのではないでしょうか。
    400gくらいのツイードだとすると、ズボンにするには厳しい重量だった(生地特性を加味してズボンには軽すぎ)かと思うのでなんだかんだスポーツコートに落ち着いて正解だったと思います。

    • Mr. Linen Mr. Linen より:

      コメントありがとうございます。
      そうですよね。洗剤を入れるというのは大きなミスでした、後悔しています。
      サファリジャケットとツイードは、出自からして相性が良くないですよね。
      サルトにおいて、テーラードジャケット以外にパターンオーダーで作れるものだと、コートを除けばサファリジャケットくらいしかない、という理由でサファリジャケットも候補に入れてみましたが、選ばなくて正解でした。
      ボタンについても教えていただきありがとうございます。
      ホーンボタンのそのような歴史背景は知りませんでした。
      無難なスポーツコートという選択にして良かったと安心できました。ありがとうございます。

  2. K.M. より:

    リネンさん、Ogden Moleawさん、こんばんは。

    死毛(しもうと読むのでしょうか?)が多いですね。下手したら、ハリスツイードより多いくらいです。
    ツイードも色々あるのですが、死毛が無い方が上質なようです。何で読んだか忘れてしまいました。確か、「メンズ・ウエア素材の基礎知識」だったと思います。
    とはいえ死毛も風合いになるのでいいと思います。イメージ画像にあるような、ジーンズや、黒のインナーなどに合いそうです。

    仕様に関しては個人的に、少々言い方は悪いですが、実際のところリネンさんは赤の他人ですので、挑戦的な仕様を楽しませてもらってます(笑)。自分もいいと思ったら、真似するかもしれません。

    ちなみに洗ってしまったとのことですが、中性洗剤でしたらそこまで影響ないと思います。
    ウールのキューティクルは濡らしただけでも開きますが、特にアルカリで開くのでお気をつけください。これは人間の髪の毛と同じです。といっても、家庭用洗剤は粉せっけんぐらいしかアルカリ性はないんですけどね。
    MTMでそれなりの工場でしたら、生地を送った後に加湿してアイロンで地慣らしするので洗った影響(地の目のずれなど)は少なくなると思います。ツイードなので、撚糸もそこまでかかってないと思います。

    ちなみにご存知かもしれませんが、今のウール繊維の本来の油分は染色前に全部取り除くので、油っぽいのはカーディング工程で静電気防止の為に塗布する油です。ハリスツイードが若干機械油臭いのはそのせいです。

    • Mr. Linen Mr. Linen より:

      コメントありがとうございます。
      死毛、知りませんでした。粗野な印象になるので、良くも悪くもですね。

      はい、ぜひ私の挑戦を有効活用していただければ嬉しいです。笑

      洗ってしまった件について、ショックを受けていたのですが、おかげさまで少し安心出来ました。
      ウール生地は多少油分が残っていた方が良い、特にツイードはしっとりしているくらいが良い、とにわか知識で思っていましたが、今は染色前に全部取り除くのですね。
      教えていただけて良かったです。

      • K.M. より:

        刈りたてのウール繊維には泥や草、また少々汚いですが糞なども付着していますので、お湯や石鹸で洗浄します。
        更に植物性の不純物は洗浄だけでは取り除けないので、化炭処理という工程を挟みます。
        この処理ではウールを一度酸性にしたのちアルカリ性で中和するので、この処理が終わるとほぼラノリンは残りません。

        ツイードやニット用の糸はわた染め(トップ染めとも)といって、わたの状態で染色したものをカーディング〜紡績を経て糸にします。それをこのまま織るので、カーディング工程で塗布された紡績油が布に残ります。

        一応、ハリスツイード(含む、その他のツイード)は織った後に洗浄するようなのですが、完全に取り除かれない為に油分が若干残るのかなと予想しています(この洗浄含むフィニッシュ工程だけは詳しくないので、すみません想像になってしまうのですが)。

        一方スーツ類で使われる糸は無染色のまま紡績してその後染める(糸染めとかチーズ染めという)ことが多いのですが、紡績工程の中でに洗浄が入るので、カーディング工程で塗布された油分は除去されます。やはり、油分が残っていると染めむらになるからです。

        • Mr. Linen Mr. Linen より:

          追加で教えていただきありがとうございます。
          紡績工程の理解がおかげさまで深まりました。
          ちなみに使った洗剤を良く見てみたら、弱アルカリ性とあり、やはりあまり良くなかったと後悔しました笑
          赤ちゃん向けの洗剤なのですが、商品名に惑わされず、成分まで見て判断する必要がありますね。

  3. K.M. より:

    すみません一応補足させてください(笑)。

    仕様を楽しみにしている、と書きましたが、やはりクラシックの型の範囲で、という意味になります。
    武道のようなもので、メンズウェアも型が存在するので、あまりに外れすぎるのを期待している訳では無い、ということでした。

    例えばサファリジャケットこそOgdenさんが挙げているように元々の出自はリネン素材ですから、ツイードと対極に位置するようなものです。

    従って、ツイード素材でサファリジャケットを作る、というのはかなり挑戦的な仕様であります(画像のサファリジャケットには、若干ノーフォークジャケットやギリーカラーのジャケットの衣装を感じますが)。

    それらを知った上で、例えば、バッグが要らないからあえてサファリジャケットを作る、といった意図があるのでしたら個人的に大歓迎です。そういったものこそビスポークの真価だと思っています。

    • Mr. Linen Mr. Linen より:

      はい、私も、(私の知識の範囲内での)クラシックから逸れたことはしたくないと考えているので、恐らくめちゃくちゃなものは作らないと信じたいです。
      ただ、知識不足で、自分ではクラシックだと考えていたものが実はそうでなかった、ということもあり得ると思うので、
      K.M.さん、Ogdenさんのように教えていただけるかたがいらっしゃると大変助かります。
      引き続きよろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました