こんにちは。
ミスターリネンと申します。
ヴィンテージ時計が大好きで、好きすぎて週末はヴィンテージ時計専門店でアルバイトをしています。
ヴィンテージ時計を見る中で、その時計メーカーによる純正バックル(尾錠)が付いている個体とそうでない個体があります。
どちらが良いかと言えば、純正バックル付きの方が良いに決まっているのですが、純正バックルはそんなに重要なのでしょうか。
また、欲しいヴィンテージ時計に純正バックルが付いていなかった場合、何とかして入手する方法は無いのでしょうか。
私なりの見解をお話します。
バックルの種類
まず、今回の話は革ベルトに限った話になります。
革ベルトにおけるバックルとは、以下写真で指を差している部分のことです。

また、バックルには2種類あり、ピンバックルと呼ばれる、昔ながらの普通のバックル(上写真のもの)と、
Dバックル(D=Deployment=展開)と呼ばれる、こういうタイプのバックルがあります。

Dバックルは時計の着脱が楽になるし、着脱時に誤って時計を落下させる心配もないので、便利です。
純正バックルの価値
腕時計は、時計本体、革ベルト、バックルの大きく3つのパーツから成っていて、それらがセットで販売されますよね。
ヴィンテージ時計の場合、革ベルトは消耗品なので販売当時のものが残っていることはまずなく、純正バックルも、販売当時のものは時の流れと共に紛失してしまったケースも少なくありません。
紛失した場合は、社外バックル、社外尾錠と呼ばれる、純正バックルではない、汎用品バックルを付けて販売されます。

バックルは時計を表から見たときには見えませんが、手首の内側を見たときに目につきます。
純正バックルには、ブランドロゴが刻印されていたり、ブランドのマークの形をしていることがありますが、手首の内側を見たときに、純正バックルだと多少は良い気分になりませんか?

自己満足の意味もありますが、他人の時計を見ていて、手首の内側が見えて、純正バックルが付いているのを見ると、「かっけー、いいなー」と私は思います。
だからこそ、自分が純正バックル付きの時計を付けている時は、そうでない時より少しドヤ顔になります。
時計のバックルごときで自慢したくなる、浅はかで見栄っ張りな人間に、いつからなってしまったのだろうか。
純正バックルでも、ロゴもなく形もごく普通で、一見純正なのか社外バックルなのか判別がつかないものもあります。
ヴィンテージ時計の場合は、地味な形のものが大半です。主張が強いバックルが多くなってきたのは90年以降くらいだと思います。

地味な形の純正バックルとなると、他人から見ても分からないので、完全に自己満足のみになります。
仮に他人から見られて分からなくても、純正バックルを付けていると、自分の中でのテンションの上がり具合は多少違ってくると思います。
人によっては、バックルは本当にどうでも良い、という方もいるかもしれませんが、私はバックルを気にします。
純正バックルは大きな価値がある、と言うのがこの章のまとめです。
純正バックルの素材
純正バックルの大きなポイントになるのが、素材です。
基本的には、時計本体のケースと同じであり、イエローゴールドの時計ならバックルもイエローゴールド、ステンレスの時計ならステンレスです。
しかし、ヴィンテージ時計に関して言えば、時計本体より、純正バックルの素材が「落ちる」ケースがあります。
多いパターンが、金無垢の時計ケースに対し、純正バックルがステンレスに金メッキというケースです。


プラチナやホワイトゴールドの時計ケースに、ステンレスの純正バックル、というケースも、私は知りませんがあるかもしれません。
貴金属の時計ケースなら、純正バックルも貴金属であってほしいですが、当時の時計メーカーのコストカットなのか、もしくは貴金属では耐久性が担保されないという判断なのか、ステンレスを使用したようです。
見分け方としては、バックルの内側や側面に18k、Au750、Pt950、その他諸々の刻印が入っていれば、貴金属と分かります。

ステンレスの場合は、何も刻印されていないか、Stainless steel、もしくはフランス語でステンレスと書かれている場合もあるようです。
ちなみに、金無垢の時計でも、リューズだけ金メッキというケースもヴィンテージ時計には見られるので、時計に付属するすべての素材が金無垢であってほしいというのは期待しすぎなのかもしれません。
ヴィンテージ時計の純正バックルだけを入手するのは無理
欲しいと思った時計のバックルが、社外バックルだった場合、あなたなら買うのを諦めますか?
恐らくそういった方は少なく、バックルは妥協するということが多いかと思います。
どうしても純正バックルが欲しいとしても、いくらメルカリを漁っても、まず出てきません。
時計は売らずに純正バックルだけ売ろうと思う理由が思いつかないので、考えてみれば当たり前です。
そのヴィンテージ時計メーカーのブティックに行き、バックルだけ売って欲しい、と懇願したら、もしかしたら対応してくれるのかもしれませんが、多分無理な気がします。
カルティエの純正バックル
カルティエのヴィンテージ時計(革ベルトタイプのもの)には、特徴的な形の純正バックルが付いています。

カルティエのヴィンテージ時計は、金無垢やプラチナなど、貴金属素材のものが多いですが、マストタンクという、金メッキのシリーズがあります。
マストタンクは、純銀(濃度92.5%)の上に分厚い金メッキを施すという、他のブランドにはない珍しい素材使いをしていますが、マストタンクのバックルは、金無垢ではなく、時計本体に合わせて金メッキです。
(バックルは純銀ではなくステンレスが地金です)

金メッキのマストタンク、それ以外の貴金属素材のカルティエ時計、共に、普通のピンバックルと、Dバックル両方があります。

ピンバックルでもDバックルでも、貴金属素材のものは特に価値が高いです。
特に貴金属のDバックルは、非常に価値が高いです。
単体で売っている場合もありますが、10万円以上はします。
他のブランドに比べ、カルティエのヴィンテージのバックルは比較的流通量が多く、メルカリなどでも見つけようと思えば見つかります。
欲しいと思ったカルティエのヴィンテージ時計のバックルが社外バックルだった場合でも、諦める必要はないかもしれません。
偽物バックルも存在する
残念ながら、バックルにも偽物は存在します。
ロレックス、パテック・フィリップ、カルティエなどの有名ブランドであれば、バックルというサブアイテムであっても、偽物は売れるようです。

バックルを、偽物でも良いからそのブランドと一目で分かるものにしたい、というのは見栄っ張り以外の何物でもないし、時計が本物でもバックルが偽物だと、時計自体の価値が下がるような気もします。
ですが、私にはそれを見栄っ張りだと批判する資格はありません。
社外バックルは気分が下がるからどうしても嫌で、偽物でも良いから、バックルだけはずるしてでも本物風を付けたい、という気持ちは正直分かります。
カルティエの場合でも、ピンバックルもDバックルも、偽物が楽天等で売っています。

これだけ安く手に入ってしまうなら、社外バックルで妥協せず、偽物を使うというのもありかもしれません。
怖いのが、時計本体と違って、ケースの仕上げ、文字盤の仕上げ、中身の機械等を見て真贋鑑定が出来る、というのでもないので、バックルの偽物は見分けがつきにくいことです。
ましてや、カルティエの場合、金メッキの純正バックルが存在するので、金メッキの純正バックルと金メッキの偽物バックルとの見分けは出来るのでしょうか。
素材が同じとなると、バックルの形か刻印くらいしか判断基準がありませんが、形も刻印も、時計本体とは比べ物にならないほど真似しやすいです。
時計屋さんですら、偽物のバックルが付いた時計を買い取って、本物と思い込んで販売している場合もあるかもしれません。
まとめ
ヴィンテージ時計において、純正バックルの価値は大きい。
貴金属ケースの時計でも、バックルはステンレスやメッキの場合もある。
純正バックル単体を中古市場で見つけるのは困難。
カルティエの場合は、バックル単体を手に入れられるケースがあるが、偽物に注意。
以上が今回のまとめです。
ありがとうございました。
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