【悲劇】リネンスーツを洗ったら、3㎝縮んでしまいました

お直し・ケア

こんにちは。

ミスターリネンと申します。

悲劇が起きました。

洗う前の状態

このリネンスーツを、自宅の洗濯機で水洗いしたところ、着丈、袖丈、パンツの丈、丈と呼ぶ部分全ての長さが3㎝も縮んでしまいました。

つんつるてんです。
お尻丸出しのジャケット丈。

これまで、リネンのジャケットもパンツも、同じように洗濯機で水洗いしたことはあり、今までは全く縮まないか、縮んでも数ミリ程度だったので、今回も大丈夫だろうと油断していました。

自分の結婚式で着たスーツで、思い出もある物ですが、残念ながらもう着られません。

パンツに関しては、丈を出せばまだ着られますが、ジャケットは諦めるしかありません。

縮んだ原因

今まで洗っても縮まなかったものと、今回縮んだものとでは、何が違ったのか。

洗っても縮まなかったものは、生地の段階で洗いにかけていた、と私は考えています。

洗っても縮まなかったリネンの一例として以下のジャケットは、触ると比較的柔らかいリネンだったので、そう考えました。

このジャケットは、洗っても縮みませんでした。同じリネン100%生地です。

ただ既製品なので、生地の段階で洗いにかけていたかどうかは確かめられません。

デニムの縮みと似たような話で、リジッドデニムと呼ばれる、ノリが付いた未洗いの硬いデニム生地は、水洗いするとかなり縮みますが、一度水洗いしたデニム生地は硬さが取れ、再び洗ってもほとんど縮みません。

リネンも同じで、パリッと固いな、と感じる生地は、水洗いしていない可能性大で、水洗いすると大きく縮むのだと思います。

今回洗って縮んだものは、スペンスブライソンのTyroneというシリーズの生地で、380gと重くて厚く、パリッとした生地です。

左がTyroneの生地。硬さが伝わりますでしょうか。

その生地を水洗いしない状態で仕立て、まだまだ硬いなと感じる状態で洗ったので、縮むのは必然だったのかもしれません。

ちなみにリネンシャツを作った際も、硬い生地と柔らかい生地とで、同じサイズで作っても洗い後のサイズは3センチ程度異なりました。

硬い生地の方が、縮み量が圧倒的に大きかったのです。

そもそも縮むとはどういうことなのかを考えると、生地の目が詰まるということだと思います。

生地は糸と糸を織って作っているわけですが、糸と糸との間には大なり小なり隙間があります。

糸と糸がこのように重なっている

水で洗うことで目が詰まり(糸と糸の間の隙間が埋まり)、全体の面積が小さくなる(縮む)ということだと思います。

隙間が埋まると、面積が小さくなる

今回洗ったスペンスブライソンのTyroneという生地は、糸が太く、糸同士の隙間も大きくざっくりした織りでした。

左がTyroneの生地。糸同士の隙間が見えますでしょうか。

隙間が大きいということは、縮む余地も大きいということになります。

逆に言えば、糸が極細で、隙間が一切なく目が詰まった生地であれば、水洗いしても縮む量は小さくなると予想出来ます。

リネンは全て事前水洗いすべき?

色々なリネン生地をバンチブックで触っていると、パリッと硬い生地もあれば、最初から柔らかいものもあります。

硬いリネン生地。(スペンスブライソン)
柔らかいリネン生地。(ドラッパーズ)

硬い生地は、水洗いしていない状態でバンチブックに入っているのだと思いますが、バンチブックの時点で柔らかい生地は、生地を織った時点で柔らかいのか、それとも織った時点では硬いけど、水洗いして柔らかくして掲載しているのか、どっちなのかは分かりません。

恐らくその両方で、バンチブックの生地を触って柔らかいリネン生地は、元々柔らかめの原料を使っていて、なお且つ洗いをかけてから出荷されているのだと想像します。

あくまで私の予想なので、ご存じの方はぜひ教えていただけると幸いです。

ともかく、私は今回の悲劇で、今後自分でリネンスーツを仕立てる際は、必ず自分で生地を水洗いしようと心に誓いました。

アイリッシュリネンなどの硬めのリネンは100%洗うとして、比較的柔らかめのイタリアンリネンやフレンチリネンでも、「この生地は既に洗ってある」という確信がない限りは、迷ったら洗うようにするつもりです。

出来れば、1回だけでなく、2回水洗いを行おうと思います。

洗う回数が多ければ多いほど、仕上がってから水洗いして縮む確率は下がりますが、そのトレードオフとして、仕上がったスーツのパリッと感が失われます。

それでも、長く着ていきたいと考えるなら生地の段階で洗わない選択肢は私の中ではありません。

リネンスーツは洗濯機で洗えるのか

縮み問題はさて置き、そもそもリネンスーツは洗濯機で洗えるのか、型崩れを起こさないのか、ということを心配されている方もいらっしゃるかもしれません。

私の意見としては、全く問題ないと考えています。

私が実践している方法を簡単にご説明します。

まず、軽く畳んで洗濯ネットに入れます。ジャケットもパンツも、袖と足は裏返しにはしていません。裏返しても良いですが、ドライコースで洗うのでそんなに擦れることもないからです。

ドライコースで、お洒落着用洗剤で普通に洗います。

パンツは重力を使ってシワを伸ばせるよう逆さに、ジャケットは太めのハンガーで干します。この時点でなるべく生地を伸ばしてシワを取っておきます。乾かすのに時間がかかると水染みになるので、扇風機や浴室乾燥などを使って早く乾かします。

いざ乾いてみると、シワはそれなりにあります。

洗ってシワが出来た状態。

しかし、アイロンとスチームを使えば、自宅にある道具でほとんど気にならないくらいにはシワを伸ばせますし、多少シワが残っても、着用時に出来るシワとごっちゃになって、気にならないはずです。

シワをある程度伸ばした状態。ジャケットの袖部分はシワがやや目立ちますが、着用していれば気にならなくなります。

袖のシワは伸ばしにくいので、気になる方はバスタオルを丸めて袖に入れて、アイロン掛けしても良いと思います。

これまでは、表地のシワについて見てきましたが、スーツは複雑な構造をしています。スーツの内側には芯地が使われており、水洗いによりそれらが型崩れを起こす可能性があります。

ただ、こちらも心配は無用で、ドライコースであれば洗う力は弱いので、私の経験上は何の問題もありません。

接着芯と呼ばれる、芯材をノリで貼り付けるタイプの芯地が使われている場合は、水洗いを何回かすると、芯地が剥がれてしまう可能性はあります。

ある程度値段のするスーツであれば、芯地が接着ではなく縫い付けられている場合が多く、その場合は水洗いに対する耐性はかなり高いはずです。

いずれの場合でも、シーズンに1回などは洗い過ぎで、普段はスチーマーや濡れタオルなどで除菌をし、2、3年に1回は洗濯機で洗う。接着芯のものは何度か洗ったら寿命が来るが、縫い付けられている芯地の場合は、一生洗って着続けられる、と私は予想しています。

最後に

テーラーが生地の水洗いに対応してくれるかどうかは、テーラーによると思いますが、自分で洗うので生地を一旦預からせてもらえないか、と聞いてみるのも良いと思います。

私が勤める銀座サルトでは、ご要望があれば私が責任を持って事前水洗いをさせていただきます。

ともかく、リネンのアイテムを、経年変化を楽しみながら長く着ていきたいと考えている方には、生地の段階で事前に水洗いすることを強くお勧めします。

もし、水洗いせずに既に仕立ててしまった、という場合は、自宅水洗いではなくプロのクリーニングに依頼されるのが安全です。

以上です。

ありがとうございました。

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