ネイビースーツより、グレースーツの方が良い5つの理由

オーダー

こんにちは。ミスターリネンと申します。

スーツの基本色は、誰に聞いてもネイビーとグレーの2つです。

ネイビーとグレーで、どちらが良いかというのは、うどんとそばのどちらが良いかというのと同じで、優劣を付けられるものではないと思います。

その前提はあるけれど、私はグレースーツの方が断然好きです。

個人的好みとして好きなのもありますが、客観的に見て、グレースーツの方が優れている点がいくつかあると考えています。

なるべく偏見が入り過ぎないように注意しながら、グレースーツの方が良いと思う理由を紹介します。

最もフォーマルなのは、ネイビー

ネイビーとグレーがスーツの基本色であるとして、よりフォーマルで、ドレッシーなのはどちらなのでしょうか?

私が知る限りは、ネイビーです。

より正確に言えば、ダークネイビーや、ミッドナイトネイビーとか言われる、黒に近い濃いネイビーです。

前提として、色は濃ければ濃いほどフォーマル度合いが高まります。黒いタキシードが良い例です。

グレーよりネイビーの方がフォーマル度合いが高いと考える根拠ですが、私が勝手に師匠としている故落合正勝氏の著書の内容を元にしています。

右上あたり、慶事にはグレイか黒、弔事には紺と記載あり。
左下あたり、燕尾服の上着は黒か濃紺と記載あり。

内容としては、フォーマルシーンで着るスーツは、慶事にはグレイか黒、弔事には紺と記載があります。燕尾服の上着は、黒か濃紺と記載があります。

この本によれば、ややネイビーの方がフォーマル度合いは高いけれど、グレーも負けず劣らずフォーマルだと読み取れます。

本から離れて、先日のエリザベス女王の葬儀の参列者の写真を見ていると、黒い服の人が多いものの、ネイビーの人も多くいました。

BBC Newsよりhttps://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-62956070。ウィリアム皇太子、ジョージ王子はネイビー。
Precious JPより。https://precious.jp/articles/-/36463。ヨルダン国王と王妃らしい。王妃はネイビーに見えます。

エリザベス女王の葬儀の写真を見る限りは、グレースーツの人はほぼおらず、黒かネイビーだったので、あえて比べるならば、グレーよりはネイビーの方がフォーマルである、と言っても間違いではないと思います。

グレー派、赤峰幸生さん

前章は、葬儀という最もフォーマルさが求められる場面での話でしたが、それ以外の全ての場面では、ネイビーとグレーには、使いやすさに差はないはずです。

例えば結婚式に参列する際は、どちらの色でも全く問題ありません。

新社会人の方などで、最初に揃えるべきスーツは?という話題をしばしば耳にしますが、「まずはネイビー」と答えるケースがほとんどだと思います。

日本の場合、葬儀は黒スーツ一択なので、ネイビーの方が、仕事にも、冠婚葬祭にも使えるから、という理由ではないです。

恐らく、グレーよりネイビーの方が、若い方にはフレッシュさが出て似合いやすい、という理由だと思います。

アトリエベルンのオーナー竹内大途さんは、動画の中で、40歳以上の方にはグレーもアリだが、まず持つべきスーツはネイビーと言われていました。

それに対して、常にグレーを推奨されているのが、クラシック界の重鎮である、赤峰幸生さんです。

グレーの中でも、濃くも薄くもない、ミディアムグレーが、年齢問わずベストだと何度も言われています。

赤峰幸生さん含めた多くのスーツ界のプロの意見を踏まえ、グレーの方がネイビーより優れていると考える理由を、以下でいくつか紹介します。

グレーが良い理由1:無彩色

グレー最大の良さが、無彩色であること。つまり、黒と白だけで構成されていて、色が使われていないことです。

それに対しネイビーは、青という色の要素が入っています。

スーツにおいては、色数は2.3色となるべく少ない方がまとまると言われますが、青が入ってしまうと、他に使える色が限られてしまいます。

グレーであれば、色にはカウントされないので、ネクタイやチーフ、靴下でも色を使える幅が広がります。

グレーの汎用性の高さは、赤峰幸生さんが言われるように、あくまでミディアムグレーの話です。

ミディアムグレーのスーツ

ライトグレー、チャコールグレーとなると、むしろネイビーの方が汎用性が高い場合もあります。

もちろん、比較対象のネイビーについても、ブルーと呼ぶべき明るいネイビー、ほぼ黒に近い濃いネイビーではなく、中間のミディアムネイビーが最も使いやすいです。

ミディアムネイビーのリネンジャケット

以下、ネイビー、グレー共に、ミディアムの濃さの前提として話を進めます。

グレーが良い理由2:スラックス単体で使える

グレースーツの優れている点その2が、スラックス単体で使えることです。

グレースラックスは、言わずもがなの、クラシックにおける最もベーシックで汎用性の高いズボンです。

ネイビーブレザーと合わせれば、フォーマル度の高いドレスシーンでもOKなことがあるし、

カジュアルなジャケットと合わせて、オフィスカジュアルにも使えるし、

ブルゾン、ポロシャツ、スニーカーのようなカジュアルスタイルにも合わせることが出来ます。

あくまでグレースーツの生地によります。

糸が細く、光沢もあるドレッシーな素材のグレースーツは、単体でスラックスを使おうとすると、他のアイテムとの相性がイマイチです。特にカジュアルアイテムとは合いにくいです。

逆に、ドレッシーさが抑えめな素材、例えばフレスコ(春夏)、フランネル、(秋冬)などは、光沢が無く、カジュアル要素があり、ネイビーブレザーから、革ジャンまで、幅広く合わせやすいです。

フレスコ素材。
フランネル素材。

ちなみに以下の本では、白シャツ=白いご飯、グレースラックス=熱い味噌汁、とたとえられていました。

確かに、焼き魚だけでなく、とんかつ、ハンバーグ、ステーキ、オムライス、牛丼、何と一緒でも味噌汁は合いますもんね。

ネイビースーツのスラックス単体はその反面、他のアイテムとはほとんど合いません。

ネイビースラックスを履くと、上に何色を合わせても、私にとってはしっくりきません。

リネン、コーデュロイ、ツイードなどのカジュアル素材のネイビースラックスなら、まだ使いやすいかもしれません。ブラウンやベージュ系の上着と合いそうです。

が、同じ上着でも、グレースラックスの方が確実に合います。

ちなみに、ネイビースーツ派の意見として、ネイビースーツはジャケット単体で使えるけど、グレースーツはジャケット単体で使えない、という人もいるかもしれません。

スーツ好きの方には当たり前の話かもしれませんが、ネイビースーツもグレースーツも、基本はジャケット単体では使えません。

それは、スーツのジャケットと、ネイビーブレザーのような単体ジャケットとでは、使われる生地も違うし、作りも違うため、スーツのジャケットだけを着ても、バランスがおかしくなりやすいからです。

グレーが良い理由3:人と被らない、けど無難

間違いのないスーツはネイビー、という世界共通?の認識のせいか、ネイビーのスーツを着ている人が多数派です。

グレースーツを着る人ももちろんいますが、チャコールグレーならまだしも、ミディアムグレーとなると、少数派だと思います。

ただ人と違ったスーツを着たいなら、ブラウンやベージュ、赤でも白でも良いわけですが、日本においては特に、ネイビーとグレー以外の色はビジネスでは着にくいですよね。

ミディアムグレーなら、全く悪目立ちすることなく、人とは違う服を着たいという思いも満たしてくれるのです。

グレーが良い理由4:年を取ってからますます自分のものになってくる

一般的に、ネイビーは若々しい、さわやかなイメージ、グレーは落ち着いたイメージがあります。

確かに新卒1年目の新入社員がミディアムグレーのスーツを着ていたら、やや違和感があるかもしれません。

逆に、60歳くらいのベテラン社員が、ネイビースーツを着ていても何もおかしくはないですが、グレースーツを着ていたら、なんでも包み込んでくれそうな気がします。

ややライトグレー寄り?優しい印象です。

つまり、グレースーツは、年を重ねるごとに、どんどん似合うようになってくるのです。

クラシックが好きな方にとっての理想は、流行に左右されない形の、ある程度良いスーツを買って、赤峰幸生さんのように何十年も着続けることではないでしょうか。

年を重ねるにつれて、服が自分のものになってくるのは、とても素敵で嬉しいことだと想像します。

逆に、年と共に、どんどん似合わなくなってきたなあ、と思うのは悲しいです。

グレーが良い理由5: 白っちゃけない

これで最後です。

ネイビースーツは、何十年も着倒していくと、生地が白っぽくなってしまいかねません。

1着の何十年もスーツを着たことが無いので想像ですが、ネイビーや黒などの濃い色の生地は、着用により色が白っぽく落ちていくのを経験された方も少なくないと思います。

ネイビーのチノパンなど、特にコットン素材は色落ちが顕著で、ウール素材はそれと比べると色落ちはしにくいとは思います。

(ネイビーのウール素材を何十年も着るとどうなるか、経験済の方、ぜひ教えてください。)

それに対してグレーは、色落ちはしますが、比較的目立ちにくいです。

理由を考えたのですが、グレーは元々黒と白を混ぜた色であり、白っちゃけたところで、白要素がやや強くなったに過ぎない、つまり例えばミディアムグレーなら、色が多少落ちてもライトグレーに近づいただけ、だから目立たないのかも知れません。

前章で述べた、年と共に似合ってくるメリットと重なって、長年着続ける想定のスーツは、グレーが良いと考えます。

まとめ

ネイビースーツよりグレースーツの方が優れていると考える理由を5つご紹介しました。

無彩色で汎用性が高い。

スラックス単体で使える。

人と被らない、けど無難。

年を取ってからますます自分のものになってくる。

白っちゃけない。

私事ですが、赤峰幸生さんがミディアムグレーこそ基本と言われているのを聞いて、初めてグレースーツを買いました。

それまではネイビースーツか、せいぜいチャコールグレーしか着たことが無かったですが、赤峰幸生さんに憧れてグレースーツ縛りを自分の中に課しました。

その結果今ではネイビースーツもチャコールグレースーツもすべて手放してしまい、グレーしか愛せない男になってしまいました。

先日伺ったDORSOさんでも、ネイビーに挑戦しようか迷いつつ、結局ミディアムグレーにしました。

参考記事

「DORSOオーダー体験記(1回目)」

今のところはネイビーへの興味は変わらずなく、今後もミディアムグレー、もしくはライトグレー、もっと数が増えてきたら、グレーのストライプと、グレー道を歩んでいきたいと思っています。

以上です。ありがとうございました。

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