こんにちは。
ミスターリネンと申します。
以下の記事で、様々なブランドのスエードシングルモンクを比較しました。
私はブランドスエードのものしか持っておらず、ブラックスエードのものがどうしても欲しかったのです。
結果だけお伝えすると、スピーゴラのものを買いました。セールになっていて、ラスト1点だったのもあり、急いでお店に行きゲットしました。
今回は、スピーゴラのシングルモンクストラップシューズをほめたたえるレビュー記事を書きます。
シルエット
具体的な特徴を順に見ていきます。
まずシルエットですが、、ドレッシーな印象です。


つま先部分が長く、捨て寸と言われる、足の指先の前の空間部分が比較的大きく、靴の全長が長いです。
裾口が太めのスラックスに相性が良さそうです。
裾口が細いタイトめなズボンだと、大足に見えてしまい、ピエロっぽくなりかねません。
履き口の大きさとタン
履き口の大きさは、狭くもなく広くもなく、中間くらいだと思います。

ジャコメッティ、三陽山長、オリエンタル、と比べてみてください。

履き口は広ければ広いほど、スリッポンらしくカジュアルな印象になります。
仮に履き口がもっと狭かったら、つま先の長さとも相まって、ザ・ドレス顔になりそうですが、ほんのりカジュアルさも残す絶妙なバランスです。
特徴的なのが、タン(べろ、足の甲を覆う部分)の長さです。

横に走るベルトより、比較的履き口側に長く伸びています。
逆に言うと、横に走るベルトが、タンより比較的つま先寄りの方に位置しています。
これにより、タンの横に隙間が出来ます。

この隙間から、靴下がちらっと覗きます。

ベルトの細さも相まって、ジョンロブのデラノを彷彿とさせる気がしますが、共感いただける方、いらっしゃいますでしょうか。

この靴は履き口がの広さが広くも狭くもない、と章の冒頭で述べました。
それは、履き口の広さ=かかとからタンの先端までの長さ、という前提での話です。

仮に、履き口の広さ=かかとからベルトまでの長さ、とするのであれば、ジャコメッティ以上に履き口が広い靴、と言えるかも知れません。
このデザインのバランスが、唯一無二だと思います。
ベルト(ストラップ)
ベルトも特徴的です。
まず、細いです。
また、シングルモンクの多くは、ベルトの付け根部分は太く、先端に行くにつれて徐々に細くなっていく形がほとんどです。
スピーゴラのものは、付け根も比較的細く、横一直線に細いベルトが走っているだけ、という印象です。


ジョンロブのデラノを彷彿とさせると言いましたが、それはタンの隙間だけでなく、ベルトの細さからも来ています。
また、ベルトの穴が、一個しかありません。

既製品のシングルモンクの多くは、ベルトの穴が複数個ありますが、それは甲の高さによって調整するためです。

ビスポークでシングルモンクを作るなら、調整の必要はないので、ベルト穴は一個なのだと推測します。
今回の靴は既製品ですが、ビスポークっぽいディティールということでしょうか。
機能的には、穴が一個しかないと、甲の高さが合わなかったときに調整出来ないので不便です。
私の甲には、幸いちょうど良い高さでしたが、履いていくうちに革が伸びたりしたら、緩くなってしまうかもしれません。
万が一緩くなったら、追加で穴を開けるのも手ですが、穴一個というストイックなデザインが失われてしまうので、私ならタンパッドなどを入れて高さ調整します。

シングルモンクの靴では、ベルトの裏にゴムが仕込まれていて、脱ぎ履きの際にベルトをいちいち外さなくても良いようになっているものが時々あります。

スピーゴラのものは、ゴムがありません。
と言うことは、脱ぎ履きの際に面倒だな、と思っていたら、ベルトを付けたままでも、シューホーンを使って脱ぎ履きが出来ました。
履き口(かかとからベルトまで)が比較的広いからだと思われます。
穴一個でデザイン的にも良し、機能的にもデメリット無し、言うことがありません。
金具(バックル)
次に金具です。
ベルトの細さに付随して、小さめの金具です。

大きいバックルは目立ちすぎるので、小さい方が上品にまとまると思います。
スピーゴラのものは、金づちで打ったような凸凹した加工が施してあります。
仮につるつるな表面だとしたら、ドレッシーな印象が強いので、スエードのシングルモンクには合う加工だと思います。
何よりすごいのが素材です。
なんとシルバー925が使われています。
革靴の金具に貴金属が使われることは、既製品ではめったにないのではないでしょうか?
多分私には、シルバー925だと聞くからシルバー925に見えるのであって、実際はステンレスだけどシルバー925だよ、と言われても、シルバー925に見えると思います。
でも良いんです。自己満足で構いません。
シルバーなので、きっと黒ずんでくると思いますが、印象がどう変化していくか楽しみです。
日本人に合うかかとの作り
続いてかかとを見てみます。
最初に気が付くのが、かかと部分に革の継ぎ目がなく、とても美しい後ろ姿をしていることです。

かかとの形が、上に向かってつぼんでおり、丸みを帯びています。
おかげで、歩行時にかかとが付いてきてくれて、スポスポ抜けることがありません。
スポスポ抜けるのを防止するため、滑り止めのためのスエードを、かかとの内側に貼る靴もありますが、この靴は何も貼っていません。

それなのにかかとが付いてくるのはすごいことなのだと思います。
日本人はかかとが小さいと良く聞きますが、日本人に合いやすい作りだと思われます。
かかとだけでなく、履き口全体が、上にチューリップのように向かってつぼんでいて、足を包み込んでくれます。
シューツリーを入れた写真を見ると分かりやすいかもしれません。

シューツリーが包み込まれている感じが伝わりますでしょうか。
おかげで、きつくないのに足が全然抜けない、素晴らしい作りです。
ド素人なのに語って恐縮ですが、上に向かってつぼんでいるということは、革を曲線状に形づくっているということなので、きっと難しい技術なんだと思います。
革の内側に芯材を入れているのだと推測しますが、革自体にも癖付けのようなことをしているのか、分かりませんが興味があります。
かかと自体の高さも比較的高めだと思います。
以下の写真は、同じ全く同じシューツリーを入れた2足ですが、左のスピーゴラの方が、シューツリーが深くまで沈み込んでいます。つまり、かかとが高いということです。ちなみに右はウエストンのローファーです。

かかとが高い方が、歩行時にかかとが付いてきやすくなると思われます。
ですが高すぎても、足首に当たって痛くなってしまうこともあると思います。
少なくとも私の足首には一切当たらず快適でした。
ソール
ソールはレザーソールです。

もったいない気もしますが、私は最初からラバーソールを貼ります。
ヒール部分がやや特徴的です。

JMウエストンのローファーと比べても、やや高めで、地面に向かって細くなる、ほんのりレディースっぽさを感じる形です。

普通の形でも何の問題も無いと思いますが、身長が若干盛れるのでラッキーです。
コーディネート
この靴は、どんな格好が合いそうでしょうか。
形はエレガント、素材はスエードでややカジュアルということで、ジャケパンスタイルにはもってこいです。
スーツとの相性はどうでしょうか。
エレガントな印象が強いので、ウール系の上品なスーツも合うし、素材がスエードなので、リネンやフランネルなど、ややカジュアル寄り素材のスーツでもバッチリ合いそうです。
ブラックというのがミソで、仮にブラウンだったら、カジュアル系スーツには合うけれど、上品系スーツにはやや相性が落ちるかもしれません。
デニムなどのカジュアルなズボンには合うでしょうか。
コーディネートが上手な方であれば、合わせられると思いますが、私が合わせてみた限りでは、イマイチに感じました。



デニムでも上にジャケットを羽織れば合うかもしれないし、色々試してみようと思います。
最後に
スピーゴラというブランドは、ビスポークがメインで、既製品は多くは出ていないようです。
シングルモンクに関しては、ユナイテッドアローズの別注品が私の知る限り唯一で、ブラウンスエードとブラックスエード、そしてブラックの表革の3種類が展開されているようです。
この商品は、オンラインでの購入が出来ず、店舗限定品と書かれているので、店舗に問い合わせるしかないようです。
私はこの靴を、ユナイテッドアローズにてセールで定価の30%オフで買うことが出来ました。
JMウエストンのローファーで7C、オールデンは8D、ジョンロブのロペスは7ハーフE、クロケットジョーンズは7Eか7ハーフE、を履いていますが、この靴は8にしました。
7ハーフがベストサイズだったのですが、ブラウンは7ハーフがあるけどブラックは8しかなかったのです。
紐なし靴でサイズが大きいのは、致命的です。
しかし、どうしてもブラックスエードが良かったのと、かかとの包み込むような作りで、歩行時も足が抜けてしまうことはなかったので、許容範囲内ということで、妥協して大き目サイズにしました。
厚めの靴下を履くか、タンパッド等を使って履こうと思います。
ブラウンも欲しくてたまらないですが、2足買いする度胸は無く、諦めました。


心からおすすめ出来る靴なので、気になる方、ぜひ問い合わせてみてください。
以上です。
ありがとうございました。
コメント