【いかり肩の人は不利】首~肩の傾斜角度と、襟の高さについて

お直し

こんにちは。

ミスターリネンと申します。

先日、以下の記事で、ジャケットの襟の高さについて研究しました。

「ジャケットの襟、高ければ良いは嘘?」

ジャケットの襟の高さとは、ここの部分の高さのことです。

記事内では、襟は低すぎても高すぎてもダメ、具体的には3.5~4.0センチくらいが良い、と結論づけました。

しかし、私はある重大な点を見落としていました。

ジャケットを羽織った際、襟のトップ位置が首のどのあたりに来るのかは、襟の高さだけで決まるのではなく、肩~首にかけての傾斜角度も大きな要素になる、ということを見落としていたのです。

角度が緩やか(いかり肩)
角度が急(なで肩)

襟の高さが同じであっても、首~肩の傾斜角度が違うと、襟のトップの位置も変わります。

逆に襟の高さが全然違っても、肩の傾斜角度によっては、襟のトップ位置は同じくらいにもなります。

自分の体に合ったジャケットを既製品で探そうとすると、襟の高さも、肩~首の傾斜角度も気にする必要があるので、難しいということが分かります。

今回の記事では、特にいかり肩の方に向けて、どんな点に注意して既製品ジャケットを購入すると良いか、私の考えをお伝えします。

世の中のジャケットはなで肩向け?

YouTube等で、プロの方が、「このジャケットは”のぼり”がしっかりしていて作りが良い」といった内容のことを言われているのを時々耳にします。

のぼりがしっかりしているとは、首~肩にかけて、富士山のように傾斜がしっかりとある状態のことだと私は理解しています。(間違っていたら、どなたかご指摘いただけると幸いです。)

ジャケット作りの現場を見たことすらない私が、ジャケットの構造について語ることは出来ませんが、肩~首の傾斜角度が急である方が、作りが良い=難しい技術が必要になる、と言うことかと想像します。

傾斜角度が緩く、地面と水平に近ければ近いほど、生地を横一直線に縫えば良いので、その方が比較的簡単なのかな、と想像が出来ます。

オーダーのジャケットであれば、その人の体にバッチリあった傾斜角度に出来ますが、既製品はそうはいきません。

なで肩には、傾斜角度が急な方が合うし、いかり肩には、傾斜角度が緩やかな方が合います。

既製品として最大公約数を取るのであれば、比較的急な角度にした方が、合う人が多い=売れやすい、ということになると思います。

なぜなら、傾斜角度が急=首~背中の布の面積が大きい、ということであり、仮にいかり肩の人が着ても、ツキジワが出来、生地が余るだけであり、お直しでどうにかなります。

いかり肩の人が、傾斜角度が急なジャケットを着て、首付近に生地が余っている状態

逆に、傾斜角度が緩やか=首から背中の布の面積が小さいということであり、なで肩の人が着たら、襟のトップが首の十分な高さまで届きません。

お直しは生地を増やすことはできないので、この場合どうしようもなくなります。

それに、人間の肩は誰でも大なり小なり傾斜しているので、やはりなで肩向けに既製品を作った方が、売れる率は高まる、と言うことでしょうか。

イタリアスタイルは、肩~首の傾斜角度が急?

これは私の感想ですが、イタリア寄りのブランドの既製品ジャケットは、肩~首の傾斜角度が急であることが多いと感じます。

私が既製品で購入したこの2つのスエードジャケットは、それぞれ Emmeti、Versace というイタリアブランドですが、傾斜格が急で、いかり肩の私には合いませんでした。

Emmeti
Versace

首の下付近に生地が余って、ツキジワになっています。

また、リングヂャケットさんのジャケットは、試着しかしたことが無いですが、同じようにシワが入ってしまいました。(私の肩に合わないだけで、多くの方には合う傾斜度合いだと思います。加えて、安い料金で補正をしてくれるので、いかり肩の人でも問題なく着られると思います。)

リングヂャケットさんはイタリアスタイル寄りだと私は理解しています。

たったこれだけの例で、イタリアスタイルは肩~首の傾斜角度が急、と決めつけるのは早すぎますが、肩が構築的で、威厳のある英国のジャケットと比べ、ナチュラルと言われるイタリアのジャケットは、より傾斜角度が急で、人間の体に沿った柔らかい印象をだす傾向にある、と考えれば、あながち間違いでもないと思います。

ネットで買う場合、着丈は参考程度にしかならない

いかり肩の人は、なで肩の人に比べ、お直しに出さなければならない機会が増えると思いますが、仕方ありません。

店頭で試着してから買える場合は、後ろ姿をチェックし、お直しが必要かどうかを確かめてから買うことが出来ますが、ネットで買う場合はそうはいきません。

肩幅、着丈、身幅の実寸はチェック出来ても、首~肩の傾斜角度まで教えてくれるところはありません。

というより、計測の仕様がありません。

ネットで買う場合は、傾斜角度の相性については、賭けになってしまいます。

特に注意すべきと思うのが、着丈です。

例えば、着丈75センチと表記されている、首~肩の傾斜角度がとても急で、なで肩の人向けのジャケットを、ものすごくいかり肩の人が着ると、どうなるか。

75センチより数センチ短い着丈になります。生地の余りが発生するからです。

生地の余り=ツキジワが出来、そこをお直しでカットすると、実際の着丈は、カットした分短くなります。が、首付近の生地の余りが消えるだけで、裾の先の位置は変わりません。

実際に私は、2.5センチほどお直しでカットしましたが、裾の先の位置は、カット前と変わりませんでした。

Before
After(多少のツキジワが残っているのは、肩甲骨が出っ張っている為だそう)

つまり、いかり肩の方は、着丈は表記よりも短いと考える方が良い場合があるということです。

一つの対策としては、平置きの状態で、肩のトップから、裾の先の長さを確認するのもアリかもしれません。

まとめ

これまで述べた理由から、スーツに向いていないと言えるいかり肩。

既製品ジャケットを購入する際は、肩~首の傾斜角度に注意して、肩のトップから裾の先の長さを確認するくらいの対策しかないと思います。

いかり肩の方、一緒に頑張りましょう。

以上です。

ありがとうございました。

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