サントスガルベ、買って後悔していること

時計

こんにちは。ミスターリネンと申します。

ラグスポと言われるジャンルの時計が人気な昨今ですが、同ジャンルが誕生した70~80年代にカルティエが生み出したラグスポ時計に、サントスガルベというのがあります。

サントスカレとも海外では呼ばれているようですが、この記事では日本で一般的な呼び名であるサントスガルベで統一します。

サントスガルベは世界中で人気がありますが、日本も例外ではありません。

特に、BEAMSの有名なインフルエンサーである西口修平さんが愛用していることも、日本での人気の一つの要因かもしれません。

こちらの動画でも、最も使用頻度が高い時計として紹介されています。

西口さんのファンである私は、インスタグラムのスナップで頻繁に登場するこの時計にずっと憧れていました。

その憧れが膨らみ、抑え切れなくなった頃、日本のヴィンテージ市場でもこの時計の値上がりが急激に加速しました。

これは今買わなければどんどん手が届かなくなり後悔する、と思い、無理をして購入しました。

もちろん素晴らしい時計で、大きな後悔は無いのですが、期待していたほど汎用性が高くないと、今は感じています。

私なりに、サントスガルベを買ってよかったこと、後悔していることをご紹介します。

満足していること

冒頭で述べた通り、BEAMSの西口修平さんは、かなり頻繁にサントスガルベを付けられています。

動画の中では、「良い時計ではあるが、超高級時計ではないので、さらっとつけられるし、何にでも合う」といった趣旨のことをおっしゃっていました。

実際にその通りだと私は感じます。

何よりデザインが格好良く、ドレッシーなスーツスタイルには、派手すぎるので合いにくいですが、それ以外ほとんど全てのスタイル、ジャケパン、ミリタリー系、デニムに白T、真夏のショーツスタイルなど、何にでも合います。

特に私が好きなのは、カントリーで野暮ったいスタイルに合わせることです。(西口さんのスタイルからアイデアを盗んでいるだけです。)

靴はやや尖り気味ですが、それ以外は野暮ったいアイテム中心です

コーデュロイ、ツイード、デニム、スエード、モールスキン、軍物系。これらの、ドレスとは反対の位置づけのアイテムとの相性が非常に良いと思います。

野暮ったいスタイルの中に、ややラグジュアリーな要素が手元に入ることで、野暮ったさが軽減され、少し都会的な印象が加わる気がします。

野暮ったいスタイルに、武骨なミリタリーウォッチなどを合わせるのは相性バッチリでもちろん素敵ですが、あえて時計だけ方向性をずらすのも良いと思います。

先ほどのスタイルに、こちらの無骨な時計も合うと思います。

また、金色と銀色、両方の要素があるので、他のアクセサリー、靴や鞄の金具の色との合わせを気にしなくて良いのもメリットです。

季節を問わず使えるのもメリットです。

メタルブレスなので、夏でも使いやすく、シンプルな格好に華が出るし、冬には着こんだ上半身から、ちらっとコンビネーション(ステンレスと金)の時計が覗くのもまた素敵です。

メンテナンスが比較的楽なのも良いです。

超高級時計ではないというのは、特に中身の機械の話で、私がカルティエブティックの人に聞いた限りでは、ETAベースの機械です。

ということは、オーバーホールも比較的簡単で、交換部品も出回っている為、壊れてもどうにかなる可能性が高いです。

実際に、街の時計屋さんでもオーバーホールを受け付けてくれるところがほとんどで、費用も特別高くはなりません。

後悔していること

良いことばかりではありません。

私がイマイチだと思うのが、この時計が有名であるがゆえに、時計好きの方が見れば、一目でバレてしまうこと。

「流行っているから買ったのかな、ミーハーだな」と思われるリスクがあります。

いや、それは単なる思い込みで、私自身が有名人の影響で買ったミーハーなので、自分の中の認めたくない一面を勝手に他人に投影して、そう思っているのかもしれません。

本当は、「何その時計?かっこいいね!どこの?」と聞かれたいのです。そうやって、一種の優越感に浸りたいだけです。

どうでもよい話をしてしまいました。

実際に街の中でサントスガルベを付けている人を見たことはめったにないので、ミーハーだと思われる心配は無用とは思いますが、時計好きにすぐバレるのは事実だと思います。

もう一つイマイチだと思うのが、目立つことです。

金色と銀色のコンビであり、ラグジュアリー感が強めな時計なので、単体でインパクトがあります。

野暮ったいスタイルには、ラグジュアリー要素が追加されてバランスが良いと前章で述べましたが、野暮ったさのないスタイルに合わせると、やりすぎに見えかねません。

例えば、表革のレザージャケットとの相性はイマイチな気がします。ジャケットがキザ、手元もラグジュアリーで、ギラギラ感が強いです。

黒の表革に合わせると、やり過ぎ?
黒じゃないし、スニーカーなので、このスタイルにはまだ合わなくはない?

ジャケパンスタイルでも、つるっとしたウール素材のジャケットよりは、リネンやツイードのごわごわ系素材のジャケットの方が相性が良かったり、ズボンも上品なグレースラックスよりはデニムやチノパンなどの方が合いやすいと、私は思います。

ツイード×デニム×スエード。このくらいのスタイルなら、相性は良いと思います。

これはあくまで私の好みの問題であって、上下揃いのドレッシーなスーツにサントスガルベを合わせたからと言って、おかしいといことは無いとは思います。

この章をまとめると、サントスガルベは時計として格好良いことは間違いないが、意外と汎用性は高くない、となります。

具体的には、コーデュロイ、ツイード、デニム、スエード、モールスキン、軍物系のアイテムを使った格好の時にしか使えない、ということです。

値上がり状況

サントスガルベは、10年前は20万円台で買えるお手軽時計だったらしいです。

2.3年前は50万円前後、今年(2024年)前半は60-70万円、現在(2024年12月)は80万円~と、急速に値上がりしています。

絶対数は決して増えることのないヴィンテージ時計なので、今後はさらに値上がりしていくか、今と同じくらいの相場をキープするくらいで、下がるということは考えにくいです。

買うなら今が一番安い、というのは事実です。

ネットで買うのはありか

上記の相場は、実店舗のあるお店に限った話で、ネット専門店、もしくはフリマサイトで個人から買うのであれば、もう少し安く買えることも珍しくはありません。

ネットで買うのはありかどうかについて、私はアリだと思います。

ネットで買うと、中身の機械がボロボロの可能性は確かにあります。

しかし、この時計はメンテナンスが比較的しやすい為、オーバーホールすれば使えるようになります。

街の時計屋さんであれば3-5万円くらいでオーバーホールしてくれて、カルティエのブティックに持っていけば、約7万円で(2024年時点)新品の機械に交換してもらえます。

中身だけでなく、文字盤にクラック(ひび割れ)が入っている可能性もあります。

クラックは、この時計に関しては、一切入っていないことの方が珍しいくらいです。

クラックが入っていても、良く見ないと気づかないし、気にする必要はないと個人的には思いますが、どうしても気になる場合は、カルティエのブティックに持っていけば約4万円で(2024年時点)新品の文字盤に交換してくれます。

以下の記事でも述べましたが、中身の機械の交換はしても何もデメリットが無いと思いますが、文字盤の交換は私は後悔しているので、やる場合は注意して選択して欲しいです。

参考記事

「カルティエのヴィンテージ時計、ブティックで文字盤交換するといくらかかる?」

このように、大抵の場合はお金さえ払えば、どうにかなることが多い為、相場より15-20万円以上安いのであれば、ネットで買うのもアリだと思います。

一番注意して欲しいこと:ブレスレットの状態

中身の機械と文字盤はどうにかなると述べましたが、一番注意して欲しいのは、ブレスレットの状態です。

メタルブレスレットは、夏でもつけられる、と言われ、頑丈なものというイメージがあるかもしれませんが、実はそうでもありません。

革ベルトと同じくらい、汗や水に弱いです。

というのも、汗や水がついても水洗いできるという意味では強いですが、水分が付いたまま放置してしまうと、さびてしまい、最悪の場合、ブレスレットがちぎれてしまうことがあります。

時計修理工房さんHPより拝借https://www.tokei-syuri.jp/case/case9459.html

サントスガルベに限らず、ヴィンテージのメタルブレスレットの時計を買う時に当てはまる注意点です。

実はメタルブレスレットも、カルティエのブティックに持っていけば新品に交換はしてくれますが、カルティエのロゴが入ったブレスレットではなく、こちらのタイプに変わります。

当時のオリジナル。
交換ブレス
全体的に同じ太さ

交換ブレスレットでも、現行品の丸みを帯びたブレスレットではなく、表面のフラットさが当時のままで、印象はほとんど変わりません。

オリジナルのブレスレットは、ロゴが入った部分に向けて細くなっていくテーパードタイプですが、交換ブレスレットは太さが一定です。

私の個体は、購入時から交換されたブレスレットでした。

ちなみにブレスレットを交換した時の明細が残っており、1995年当時で、30000円だったそうです。安いですね。

消費税3%。。。。懐かしいです。(当時1歳)

ブレスレットの交換が今いくらかかるかは私は知らないのですが、30万円くらいかそれ以上と聞いたことがあります。

なので、ブレスレットの状態が悪い個体なら、30万円かかってもトントンになるくらい安いものじゃない限りは、手を出さない方が良いと思います。

ちなみに、ブティックに行った際に店員の方が教えてくれたのですが、カルティエの時計を持っていけば、ヴィンテージ品であっても無料でブレスレットの洗浄を行ってくれるそうで、年に1回くらいは持って行っても良いかもしれません。

が、そこのブティックで買ったことがあるなら良いとして、初めて行って無料の洗浄だけお願いするには強めのメンタルが必要そうです。

まとめ

私がアルバイトで働いているヴィンテージ時計屋にも、サントスガルベは何点か在庫があり、マストタンクに次いで探している人が多い印象です。

海外の人も、この時計を狙って来る人が少なくありません。

自分が買った時計の人気が出れば出るほど、その時計に対して魅力を感じられなくなってしまうというジレンマを感じます。

自分がミーハーだという事実を突きつけられ、その事実を拒否したい自分が心の中で抵抗しているのでしょうか。

何がどうであれ、サントスガルベが格好良い時計なのは間違いと思います。

以上です。参考になれば幸いです。

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