こんにちは。ミスターリネンと申します。
テーラードジャケットのラペル(襟)は、ジャケットの顔です。
ピークドラペルと言って、先がとがったものもあれば、ノッチドラペルと言って、尖っていない通常のタイプもあります。
尖り度合だけでなく、太さも様々です。細いとモード、太いとイタリアン?、中間の程良いのがクラシックです。
ラペルの開始位置の高さ、ゴージ位置とも言いますが、それによってもまた印象は変わります。
今回の記事で取り上げたいのは、尖り具合でも、太さでも、高さでもなく、ラペルの曲がり具合です。
カーブしたラペルとは
ラペルの曲がり(カーブ)具合とは、何のことでしょうか?
まずはこちらの写真を見てください。
1枚目が、普通のラペルで、2枚目がラペルがカーブしたジャケットです。
カーブの向きも、上の写真のように、お腹が出っ張っているかのように膨らんだものを、べリードラペルと言うようです。
その名の通り、Belly=お腹、という意味の英語から来ています。
FashinsnapさんのHP情報をお借りすると、以下のように書かれています。
ベリードラペルとは、1970年代のイタリアで流行したスーツの襟(衿)デザインの一つで、大きな弧を描く形状が特徴。ベリーは「膨らんだ、膨らむ」を意味する。湾曲型の襟(衿)作りは技術的に難しいものがあるが、現在でもコートやタキシードなどに取り入れられている。一般的には上襟も下襟(ラペル)に合わせて幅が広めになっており、ノットの大きなネクタイとの相性も良いとされている。
ベリードラペルとは?イラスト付きで解説 (fashionsnap.com)
その反対に、へこませるカーブもあります。
何と呼ぶのか分かりませんが、こちらの写真のようなラペルです。
服に限らず、あらゆるものは、直線=人口、曲線=自然、という法則が当てはまると言われますが、曲線のラペルは、手作業でしか作れないらしいです。
手ではさみをちょっとずつ曲げながら、生地をカットすることを考えると、納得です。
カーブの度合いですが、一目でわかる、強いカーブもあれば、ほぼ直線に近い緩やかなカーブもあります。
ピークドラペルかノッチドラペルか
ラペルのカーブは、ピークドラペルという、先が尖ったラペルと相性が良いと思います。
ノッチドラペルでも、カーブしていることはありますが、ピークドの方が、ラペルの縁の線が長いので、カーブがより流れるように見えるからでしょうか。
木、という漢字の、最後のはらいが、思いっきり長い方が美しいのと同じでしょうか。
ジャケットにはシングルブレストとダブルブレストとありますが、ダブルブレストは、大半がピークドラペルです。
ということは、ピークドのダブルブレストのジャケットには、カーブしたラペルが採用されることが多いとも言えます。
カーブしている=高級か
ラペルをカーブさせるのに手作業が必要になるということは、人件費UPにもつながり、値段も高くなるのは納得です。
そのため、ラペルがカーブしている=高級、というのは、ある意味では間違ってはいないと思います。
とはいえ、高級品のジャケットのラペルは必ずカーブしているわけではありません。
安いジャケットのラペルがカーブしていることはまれですが、ラペルのカーブはあくまでデザインの1つです。
カーブしている=イタリア?
Fashinsnapさんの引用の中でも、1970年代のイタリアで流行した、と書かれています。
現代でも、カーブしたラペルのジャケットを着たイタリア人をよく見かけます。
また、ナポリスタイルを特徴とする日本のテーラー、ミケーレシンさんの作品は、カーブしたものが多いです。
参考記事
カーブしているラペル=イタリアスタイルに多い、と言っても、間違いではないと思います。
ただ、それ以外の国、例えばスーツの2台巨頭のもう片方である英国を見てみると、カーブしたラペルのジャケットは、普通に存在しています。
実際にチャールズ国王も着ています。
カーブしたラペル=イタリア、というのが間違っているのか、チャールズ国王が特殊なのか、英国に住んだこともない私にはよくわかりません。
カーブはクラシックか
カーブしたラペルは、あくまでデザインの1つと述べましたが、クラシックと言えるのでしょうか?
クラシックの意味は、「古風な」、ではなく、「最上級の」だと私は定義しているので、技術的に難しいカーブしたラペルは、クラシックと言える可能性があります。
参考記事
クラシックの手本、チャールズ英国王も、カーブしたラペルのジャケットを着ていることを考えると、さらに納得です。
ただし、やりすぎには注意です。
やりすぎてしまうと、アピール過多になってしまい、控え目を美徳とする英国的な考え方からは外れます。
直線とほぼ変わらないくらい、具体的には、チャールズ英国王くらいの緩めのカーブであれば、クラシックの範疇に収まる、と私は考えます。
まとめ
ジャケットのラペルのカーブとは何か。
カーブしていると何が良いのか。
カーブしているとイタリアンなのか。
カーブしているとクラシックなのか。
私なりの考えを述べさせてもらいました。
私はこれまで、上で紹介したミケーレシンさんに仕立ててもらった時は、ダブルブレストに関してはカーブありをお願いしました。カーブ度合いも、日本人の私でも着やすいよう、ごくわずかなカーブにしてもらいました。
実際にやってみて、格好良いと思い、気に入っています。
でも、今後は、ダブルブレストで、まっすぐのラペルも試してみたいと思っています。一つのスタイルに固執せず、色々試して、自分のスタイルを固めたいと思っているからです。
具体的にはこのくらいです。
皆さんはどのくらいのカーブがお好みでしょうか。
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