こんにちは。
ミスターリネンと申します。
ドレスシャツの襟は、以下のような要素により、様々なデザインがあります。
・襟の形
・襟の(開き)角度
・襟(羽)の長さ
・襟(腰)の高さ
どの要素も重要ですが、今回は、襟(羽)の長さに焦点を当てて、具体的に何センチが理想かを考えます。
ラペルの太さと同じが良い?
まず前提ですが、襟の形については、スプレッド(ワイドスプレッド、セミワイドスプレッド)とレギュラーカラーのみの前提で考えます。
全ての襟の形まで考えると条件が多すぎて話がまとまらなくなってしまうので、基本の2型に絞らせてください。
私が良く聞くのは、「シャツ襟の長さは、ジャケットのラペルの太さと同じくらいが望ましい。」という説です。
加えて、ネクタイの大剣の最大幅も、その2つの長さと同じくらいであれば、バランスが良いと聞きます。
これは全くその通りだと思います。
ラペルが広めのジャケットに、小襟のレギュラーカラーのデニムシャツを合わせるような着こなしがありますが、デニムシャツというカジュアルアイテムを外しとして使っているから成立するのであって、白のドレスシャツで同じ襟のものを着るとすると、バランスがおかしくなると思います。

なので、シャツの襟の長さの正解を一言で言うなら、ジャケットのラペルの太さと同じが良い、というのが結論です。
しかし、話はそんなに単純ではなく、他にも考慮すべき点がいくつかあると考えます。
また、前提条件として、シャツ一枚姿は想定せず、ジャケットは着用している前提で考えます。
ジャケットを着ていない、つまりラペルが無いと、バランスの良いシャツ襟の長さも決めようがないからです。
襟の(開き)角度
シャツの襟の長さを考える時に特に重要な要素となるのが、襟の(開き)角度です。
シャツの襟が地面と水平に近いほど、襟の先端はジャケットのラペルの下に隠れやすくなり、垂直に近いほど、ラペルから出て襟の先端が顔を出しやすくなります。


ジャケットは着用しているという前提を設けさせていただきましたが、シャツ襟が水平に近く、ジャケットのラペルの下に隠れるなら、いくらシャツ襟が長くても構わないことになります。
対してシャツの襟が地面に対して垂直に近く、先端がラペルの下に隠れない場合は、シャツ襟の長さはダイレクトに全部見えるので、長すぎても短すぎてもおかしくなります。

シャツの襟の角度は、クラシックと呼べる範疇内であれば、自由に角度を選んで良いと思いますが、ジャケットのラペルの角度とシャツ襟の角度が、揃っているのがベストだと私は考えます。
角度はある程度自由とはいえ、レギュラーと呼ばれる角度が狭めの襟型でも、シャツ襟の先端はジャケットのラペルの下に隠れていた方が良いと私は思っています。
なぜなら、シャツ襟の先端は、しっかりとアイロンをかけても丸まってしまうことがあり、それが表に見えるのが変だと思うからです。

これを防ぐには、襟の開き角度を狭くし過ぎないこと、そして襟の長さは、出来るだけ長い方が良いことになります。
長すぎるくらいにしておけば、絶対に襟の先端が表に見えることは無くなるので、安心です。
しかし、ジャケットを着ている時は良くても、脱いだ時にシャツ襟が異常に長いのはおかしいです。
なので、「シャツ襟の長さは、ジャケットのラペルの太さと同じくらいが望ましい。」という結論は変わらなそうです。
レギュラーカラーは難しい
レギュラーカラーのシャツを着る場合でも、シャツ襟の先端はラペルの下に隠れていた方が良いと思う、と述べましたが、たとえ隠れていたとしても、スプレッドカラーのシャツより、襟の見える長さは長くなります。以下2つの写真は、全く同じジャケットです。


その見える部分の長さが、ジャケットのラペルの幅と大きく違わなければバランスは崩れませんが、シャツ襟が長いと、顔が長く見えるらしいです。
顔が実際に長い人が、襟の長いシャツを着ると、バランスが良く見えてプラスなのか、顔の長さが強調されてしまってマイナスなのか、分かりません。
顔の長い人が、襟の短いシャツを着ると、顔が短く見えてプラスなのかも、分かりません。
ただ、顔が長くない人が、襟の長すぎるシャツを着ると、実際以上に顔が長く見えてしまい、マイナスだと思います。
顔が長く見えるのを恐れる場合は、ジャケットのラペルの幅を無視してでも、短めのシャツ襟を選ぶか、シャツ襟の角度を地面と水平に寄せて、シャツ襟の長さが強調されないようにした方が良い(=スプレッドを選ぶ方が良い)かもしれません。



私個人の考えとしては、ジャケットのラペルと同じ角度、広さのシャツ襟を選ぶのが、最も美しくベスト、顔なんて長く見えたって良い、と思います。上の写真で言えば、トルソーが来ている1枚目のシャツがベストだと思います。
実際に長さ検証
実際に手持ちのシャツの襟の長さを確認してみます。
8.0㎝、8.5㎝、9.0㎝の3種類がありました。
こちらのリネンシャツは、8.0㎝でした。


襟の開き角度は具体的には分かりませんが、割と広めで、シャツ襟の先端はラペルの下に入り込む角度です。
なので、シャツ襟の長さは、短すぎなければ比較的重要ではなさそうです。
ちなみにジャケットのラペル幅は8.5㎝ほど。
0.5㎝程度の差であれば、見ても分からない程度の差です。シャツ襟の先端まで見えていないのでなおさらです。
鎌倉シャツの、開き角度が広めのスプレッドは、8.5㎝でした。


先ほどよりさらに広めに開いた襟の角度なので、短すぎなければシャツ襟の長さはあまり重要ではありません。
ちなみにこのジャケットのラペル幅は9.5㎝。
1.0センチの差となると、他人から見ても分かる差だと思いますが、同じようにシャツ襟の先端は隠れているので結局は見えません。
ですが、出来るならもう少し長い方がベターだと思います。
ましてやシャツ襟の角度がジャケットのラペルとずれていて、もう少し狭い開き角度のシャツ襟の方がベターと私は考えるので、その場合は8.5㎝では短すぎる恐れがあります。
こちらのリネンシャツの襟は、9.0㎝です。


ジャケットのラペルは8.5㎝。
シャツ襟の方が長いですが、先端はラペルに隠れていて、長すぎることもなく何の問題もありません。
恐らく、シャツ襟の長さは、ジャケットのラペルの±0.5㎝以内であれば、見た目上分からない程度の違いと言えると思います。
シャツ襟の先端がしっかり隠れているなら、長すぎる分には、+2㎝でも3㎝でも問題ないかもしれません。ただ、シャツ一枚姿になる可能性があるなら、+1.0㎝くらいまでにしておいた方が良いと思います。
まとめ
ジャケットのラペルの適切な太さは、着る人の体型にもより、具体的な数字は出せません。
私の感覚では、8.5㎝から9.5㎝くらいが現代の平均であり、クラシックの範疇からも逸脱しない太さだと思います。
ご自身の手持ちのジャケットのラペル幅の平均を取り、その+0.5㎝以内のシャツ襟(羽根)の長さがベスト(短すぎるより長すぎる方が良いのでプラスのみ)、というのを、今回の記事の結論とさせていただきます。
ただし、レギュラーカラーのシャツで、先端がラペルに隠れないような急な角度の襟の場合は、±0.0㎝、もしくは顔の長さを気にするなら、-0.5㎝くらいがベターかもしれません。
±1.0㎝以上となると、シャツ襟とジャケットのラペルの長さの差が際立ってしまうかもしれないので、差は小さくとどめておく方が無難だと思います。
以上です。
ありがとうございました。
コメント
リネンさん、こんにちは。
私の持っているシャツも測ってみた所、7.5〜9.0cmでした。
特に測っていませんでしたが、7.5cmは小さく感じていました。
一方、個人的に1番好きなシャツは9.0cmでした。
縫製の仕方で言うと台襟の高さがだいたい3.5〜4.0cmくらいで、そこから襟先に向かって繋ぐので例えばワイドカラーで襟幅を9.0cmより大きくしたりするのは難しいのかもしれません。
日本人は首が短いと聞いたことがあるので、その場合台襟も低くなる傾向がありますからカラーの広すぎるシャツは作れないのかもしれませんね(レギュラーカラーはいけますが)。