こんにちは。ミスターリネンと申します。
既製品の服で、デザインは気に入ったけど、ボタンがイマイチ、ということ、ありませんか?
服好きの方には既に常識かも知れませんが、服のボタンは、案外簡単に替えられるんです。
そして、ボタンを替えるだけで、同じ服でも高級感が一気に変わります。
今回の記事では、ボタンの選び方、買い方、付け替え方、をご紹介します。
すべてセルフでできて、お金もほとんど掛からないやり方です。
ボタンが与える印象
男性の服において、ボタンは、唯一のアクセサリーと言えます。
故落合正勝氏はこう述べています。
「男のスーツの付属品で、唯一突起があるのはボタンだけである。ボタンは実用には違いないが、突起があることから考え、それはアクセサリーの類と解釈すべきだ。」
プラスチックに金メッキを貼った指輪をしているのと、金無垢の指輪をしているのとでは、どちらがエレガントに見えるかが明白なのと同じで、ボタンの素材は、非常に重要です。
スーツのボタンはもちろん、カジュアルなブルゾンやシャツなどでも、ボタンの素材は良いものである方がエレガントに見えるのは事実です。
ボタンは小さいパーツだから、遠くから見ても違いはあまり分かりません。でも、ちょっと近づくと、すぐに分かってしまいます。
最近は加工技術が進化しているので、プラスチックでも高級感のあるボタンもあると思いますが、それでも天然素材の雰囲気にはまだ追いついていない、と私は思います。
どんな素材が良いか
とはいえ、高級さを求めて金やプラチナ素材を使えばよいかと言えば、そうではないですよね。
それでは趣味の悪い成金になってしまいます。
服によって、合うボタンの素材はだいたい決まっているようです。
例えば、スーツには水牛の角、シャツには白蝶貝、ブレザーには真鍮などのメタル、リネンジャケットには貝、ツイードジャケットにはナット、等々。もちろん、個々の生地の厚さや柄などにによって例外はあります。
クラシックなスーツスタイル、ジャケパンスタイルには定番のボタンを選ぶのが間違いないですが、カジュアルな服にはちょっと遊んだボタンを合わせるのも格好良いと私は思います。
例えば、このジャケットは、リネン×コットンなのですが、茶蝶貝のボタンを合わせています。
少しミリタリーっぽいデザインで、もともとは茶色のプラスチックボタンがついていました。
ミリタリーの服は、高級感より機能性が求められるので、プラスチックボタンが使われることが多いです。
プラスチックボタンがすべて悪いわけではなく、ミリタリー服には相性バッチリですが、上品さ、高級感は出ない、と言いたいだけです。
このジャケットは、革靴にスラックスを履いて、少し上品に合わせたかったので、貝のボタンに変えました。
もう一つ例ですが、こちらのネイビーのダブルのリネン100%のジャケット。
安物の既製品ですが、ボタンが黒のプラスチックボタンが付いていたので、黒蝶貝のボタンに替えました。
白蝶貝でも夏らしさが出て素敵でしたが、仕事でも着やすいよう、目立たない黒にしました。
プラスチックボタンの時は、お世辞にも高級感があるとは言えませんでしたが、貝ボタンにすると、一気に上品に見えませんか?
もう一つだけ例を続けますが、こちらのジャングルファティーグと呼ばれる形のジャケット。
ベトナム戦争のときに米兵が着ていたもので、色はカーキオリーブ、素材はナイロン系です。
それをベースに、色はブラックに、素材をリネン100%に変えて、形はオリジナルとほぼ同じで作った、現行のジャケットがこちら。ブランドはSlow(スロウ)という日本のブランドです。
ボタンは、黒のブラスチックのボタンがついていました。
オリジナルのカーキの方は、生地と同色のプラスチックボタンなので、Slowのものも、オリジナルに忠実にデザインされているのが分かります。
黒のプラスチックボタンでも何の問題も無いのですが、少し遊びが欲しく、替えようと思いました。
リネンなので、貝ボタンも合いそうですが、そうするとジャケット自体が武骨、ボタンは上品、となり、イマイチなバランスな気がしました。
水牛の角ボタンはどうか?黒やグレーにすればほぼ目立たないし、合わないこともないですが、プラスチックボタンとの変化が小さすぎて替える意味がなさそう。
と思って、メタルボタンを考えました。
カラーはシルバー、ピカピカのシルバーは浮くので、色がくすんだこのボタンにしました。
プラスチック素材ではなく、ちゃんと鉄素材です。
自画自賛ですが、相性が良く、雰囲気も変わったと思います。
ボタンはどこで買えるか
ボタンを売っているお店ですが、浅草橋にあるタカシマさんがおすすめです。
ネット通販も可能ですが、店舗の方が在庫が多く、実際にボタンを替えたい服を持っていけば、ボタンを載せながら試着?ができます。
値段もとても安いです。1個100円や200円程度。ジャケットのボタン全部を替えても、10個程度なので、気軽に買えます。
ボタンの付け替え方
いざボタンが手に入ったとして、ボタンを替える作業が必要になります。
お直し屋に持っていけば、1つ300、400円とかでやってくれますが、袖も合わせてボタンの数が全部で10個だとすると、結構な金額になります。
セルフで簡単にできるので、そのやり方をご紹介します。
と言っても、何も特別なことはありません。
糸を切ってボタンを外し、新しいボタンを縫うだけです。
ボタンに4つ穴がある場合、以下のようなパターンがあります。
他人からはよく見ないと違いが分かりにくいですが、右から2つ目の縫い方は、雑な印象になりかねないので、一番左か、左から2つ目が無難でしょうか。
私は、何となく面白いので、一番右の縫い方をやってみました。
鳥の足のように見え、イタリアの高級シャツブランドが採用していて、手縫いじゃないとできない縫い方、という話を聞き、どうせ自分で手縫いするし、難しくもないし、と思って選びました。
悪くないと思いますが、鳥の足の向きがすべてのボタンでそろっていないと、美しくないので、揃えないといけない手間があります。
私は、最初向きのことまで考えが及ばずに、すべてボタンをつけてから向きのことを気づき、全部やり直したという失敗があるので、ご注意ください。
縫う際に、ボタンと生地の間の隙間を大きくして、ボタンを留めやすくするため、竜巻のように糸をぐるぐる巻く方法があります。
テーラードジャケットなどによく採用されています。
確かにボタンを留めやすいというメリットがあるのですが、ボタンを外した際に、ボタンが重力で下に垂れて、枯れたひまわりのように見える、というデメリットもあります(特にメタルボタンなど重量のあるボタンの場合)。
私個人としては、ボタンと生地の隙間が小さくぴったりしている方が好きなので、竜巻のように巻くとしても、ほんのわずかにします。上の写真は、お直し屋さんにやってもらったので、枯れたひまわりにならずキレイですが、自分でやるなら竜巻の幅をこんなに長く出来ません。
もう一つ注意点ですが、ボタンが付かない方の、生地の裏側です。
裏側だからどうせ見えない、と思って適当に縫うと、素人がやった感が強く出てしまいます。
理想は、最小の点が1つ付いているだけで、なるべく目立たないようにすることです。
糸を上から(表から)下に(裏に)通す時、ボタンの穴の真下に通すのではなく、なるべく中心に集めるようにすると、裏から見て点が小さくなります。
まとめ
服のボタンが与える印象は、思いのほか大きいことがあります。
同じ服でも、プラスチックボタンから天然素材のボタンに替えるだけで、値段が倍以上に見えることだってあります。
ボタンの付け替えは、とても簡単で、費用もほとんど掛かりません。
飽きた服も、ボタンを替えるだけで新しい服のように感じたりもするので、節約にもなり、とてもおすすめです。
よかったらぜひ試してみて下さい。
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