こんにちは。ミスターリネンと申します。
上の写真の2つのブーツ、同じ茶色のスエードで、くるぶし丈の高さ、紐穴も2つで、ジャンルとしては同じものですが、全く印象が違いませんか?
左の物をデザートブーツと呼び、右の物をチャッカーブーツと呼びます。(詳しくは後述)
ブランドは、左の物がクラークス、右の物がクロケットジョーンズです。
ブーツとしての作りも全然違うし、シルエット、つま先の尖り具合も全く異なります。
それぞれのメリットデメリットを検証し、一足だけ買うならどちらが良いか、私なりの観点で述べたいと思います。
チャッカーブーツとデザートブーツ
2つのブーツはとても似ていますが、左のクラークスの方をデザートブーツ、右のクロケットジョーンズの方をチャッカーブーツと呼ぶようです。
チャッカーブーツという大きなカテゴリーの中に、デザートブーツという小カテゴリーがあります。
チャッカーブーツとは、くるぶし丈の、2~3つの紐穴で縛るショートブーツのことです。
アッパー素材は、表革、裏革(スエード)両方あるし、ソールもレザーソール、ラバーソール、両方あります。
アッパーとソールをくっつける方法は、高級靴の定番で、ソール交換が何度も出来る、グッドイヤー製法がメインになります。
その中の小カテゴリーであるデザートブーツとは何かと言うと、生ゴムで作った「クレープソール」を、ステッチダウン製法という、比較的簡易な方法でアッパーと接合させたものです。簡易な方法とは言え、接着剤で貼り付けるだけではなく、縫っているようには、素人目には見えます。
私のクラークスは、見た目はデザートブーツなのですが、よく見るとソールが生ゴムのクレープソールではなく、グレーのラバーが使われています。
クレープソールは汚くなるし水にも弱いと聞き、こちらのモデルを選びました。
なので厳密にはデザートブーツとは呼べないのかもしれませんが、便宜上この記事ではデザートブーツとさせてください。
デザートブーツ
まず初めに、デザートブーツの特徴を考えます。
デザートブーツは、カジュアルな印象が強い為、基本的にはカジュアルアイテムとの相性が良く、スーツに合わせるのは難しいです。
何がカジュアルさを強めているのかと言えば、まずはつま先の形が非常に丸っこく、ぼてっとしていることです。
ドレスシューズにはここまで丸い形のものは無いと思います。
(私のものはベトナム製の現行品ですが、ビンテージのイギリス製のクラークスは、もう少し形がシュッとしているらしいです。)
さらに、クレープソールであること、またステッチダウン製法により、ステッチが表にはっきりと目立っているのもカジュアル要因の一つです。
お洒落上級者が、ハズしとしてデザートブーツをスーツに合わせているのを見ることがありますが、ハズし方も盛大であるため、着こなす難易度は高いと思います。私には無理でした。
ハズし方レベルを並べてみると、
タキシードにビーサン:ハズし方Max
スーツにデザートブーツ:ハズし方Medium
スーツにローファー:ハズし方Small
ジャケパンにローファー:ハズしほぼZero
ツイードジャケットにコーデュロイスラックスなど、カジュアル寄りなジャケパンスタイルくらいであれば、合わせてもおかしくはないと思いますが、かなり野暮ったい印象です。
デニムにスウェットなど、完全にカジュアルなスタイルであれば、相性はバッチリです。
もう少しシュッとした形のデザートブーツもあると思いますが、私の手持ちのデザートブーツについていえば、スニーカーとほぼ変わらないくらいカジュアルな位置づけで、カジュアル専用アイテムだと私は思います。
革靴の多くは、ドレスはもちろん、カジュアルな格好でも、逆ハズし?として使え、何にでも合う汎用性の高さがあるので、デザートブーツの、カジュアルにしか使えない汎用性の低さは、ややデメリットかも知れません。
メリットももちろんあります。
まずは、値段が手ごろであること、クラークスのものであれば、2万円前後で買えます。
歩きやすさもメリットです。本格革靴の硬さが無いので、履き慣れるまで足が痛くなるようなことがありません。
また、多少の雨ならバッチリ防いでくれます。
チャッカーブーツ
続いて、チャッカーブーツの特徴を考えます。
一言で言えば、ドレスとカジュアルの中間の印象で、合わせられる格好が幅広い、という汎用性の高さがあります。
クレープソールでもステッチダウン製法でもないので、ソールに関してはカジュアルさは全くありません。
とはいえ、同じチャッカーブーツの中でも、シルエット、つま先の形、次第で印象は大きく変わります。
ブランド、モデルによって千差万別なので、一概には言えませんが、クロケットジョーンズのChertesey チャートシーというモデルが、チャッカーブーツの代表と言ってよいくらい定番で、この形を基準に考えると良いのではないかと思います。
このくらいの形であれば、ドレスとカジュアルのまさに中間という印象が私にはあります。
私のチャッカーブーツは、Tetbury テットベリーというモデルで、クロケットジョーンズのチャッカーブーツの中では最も細長いつま先の形をしています。
ジェームズ・ボンドシリーズで、ダニエル・クレイグが同じ形の黒の表革のタイプをスーツに合わせていたことから分かるように、スーツにも合う、ドレス寄りな形です。イタリアっぽいと言っても良いかもしれません。
チャッカーブーツ、かつスエードというカジュアルなアイテムなのに、つま先は細いというアンバランス感が、カジュアルさを軽減しています。
フランネルのスーツにスエードのチャッカーブーツという組み合わせは定番だと思いますが、あまり丸いつま先のものだと、デザートブーツと近い印象になり、ハズし過ぎになってしまう。
つま先がある程度細いことで、冬のスーツスタイルとして成立しやすい。
と考えています。
チャートシーくらいのつま先でもフランネルスーツにはバッチリ合うと思います。テットベリーだと、よりドレッシーな印象になります。
ジャケパンスタイルでも、同様にある程度細いつま先の方が、無難な合わせだと思います。
デニムとなると、テットベリーくらい細いのはどうでしょうか。
上にジャケットを羽織るなら細いテットベリーもアリ、スウェットなどカジュアルアイテムの場合は、おかしくはないけど、もう少し丸いつま先の方が合うため、チャッカーブーツの中でもチャートシーのモデルか、デザートブーツの方が合うと思います。
歩きやすさについては、足の形に合っていて、サイズも合っていれば、デザートブーツ同等だと思います。合っていないと、デザートブーツより重くて硬いので、歩きにくいかもしれません。
耐雨性については、アッパー素材、ソール素材によりますが、スエードのアッパー、ラバーソールであれば、雨にも強いです。
デメリットは、価格が高いこと。
ヨーロッパブランドだと、定価10万越えのチャッカーブーツがほとんどです。
私のテットベリーは中古で買いました。
まとめ
・デザートブーツ
カジュアル要素が強く、カジュアルな格好にしか合わないのがデメリット。
コスパ、快適さ、がメリット。耐雨製は普通。
・チャッカーブーツ
ドレスにもカジュアルにも合う万能靴。
つま先の形によって印象は大きく異なるが、丸すぎず、尖りすぎずが最も便利。具体的にはクロケットジョーンズのチャートシーというモデルくらい。
快適さ、耐雨性も申し分ないが、値段が高いのがデメリット。
おまけ:とんがり靴の魅力に気づいてしまった
クロケットジョーンズのテットベリーというモデルをご紹介しましたが、この靴で、つま先がシュッとした靴の魅力に気づいてしまいました。
ひと昔前のホストみたいなとんがり靴が格好悪いことは誰もが思うことだと思いますが、クラシックなブランドでも、特にイタリアブランドを中心に、つま先がやや尖った革靴は多くありますよね。
靴として格好良いとは思いますが、履くと艶っぽい印象が出すぎる為、苦手意識がありました。
ところが、実際に買って履いてみると、とっても素敵なのです。少なくとも自分の目にはそう映っています。
テットベリーに関しては、ブラウンスエードのチャッカーブーツというカジュアル寄りなアイテムに、尖ったつま先というバランスがちょうど良いのかも知れません。
もしこれが黒の表革だったらどうでしょうか。履いても無いので想像でしかありませんが、艶っぽ過ぎる気がします。
表革、短靴(ブーツではない)、尖ったつま先、となると、どうしても私の目にはホスト感があるので、スエードやシボ革などのつるっとしていない革に、チャッカーブーツやウエスタンブーツなど、アイテム自体がカジュアル要素がある靴であれば、多少尖ったつま先でもバランスが取りやすいのでは?と思います。
つま先の尖り具合は、結局は個人の好みの部分が大きいと思いますが、私個人としては今までは尖ったつま先というだけで選択肢から外していたのを、今後は検討対象にしていこうと思います。
以上です。ありがとうございました。
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