ダブル折り返し幅研究

クラシックのルール研究

こんにちは。ミスターリネンと申します。

スーツやジャケパンのトラウザーズ(スラックス)は、タキシードなどのフォーマルを除いて、ダブル(折り返しあり)で仕上げでられることが多いと思います。

シングル(折り返しなし)がクラシックではないというわけでは全くないのですが、クラシックなスーツスタイルと言えば、古今東西おしゃれな人を見ても、大抵がダブルです。

シングルかダブルか、という議論はさておき、ダブルにする場合、折り返し幅は何センチにするのが正解、最もクラシックなのでしょうか。

今回はそれを研究します。

正解:3.5~5センチ

先に結論から言うと、クラシック的正解は、3.5~5センチだと私は考えます。

以下でそう考える根拠を述べていきます。

試しにネット記事(私のような個人ブログではなく、雑誌や紳士服店の情報)を見ると、記載は様々。

FORZA STYLE(赤峰幸生さんへのインタビュー記事)

「5センチが基本」

AERA STYLE MAGAZYNE

「基本的には4~4.5cm」

HANABISHI

「一般的に裾の折り返し幅は3.5cm〜4.5cm」

Atlier Berunコラム

「“3,5~4,5cm”がバランスのよい幅」

私が教科書として常に参考にしている、落合正勝さんの本では、「3.5~4cmが基本」と書かれています。

青柳光則さんの「男のお洒落道虎の巻」という本にも、同じように、「3.5~4cmが基本」と書かれています。

赤峰幸生さんの、5センチというのだけ、他と比べた上では尖った主張にも思えますが、それを私が否定する根拠もなければ資格もないので、複数の意見を全て拾える、3.5~5センチと幅を広めにとって、一旦仮の結論としておきます。

身長、裾幅

ダブルの折り返し幅を決めるには、まずは身長を考慮に入れる必要があります。

身長が高いほど、折り返し幅も広くなる方がバランスが良いです。

身長が140センチの人も230センチの人もいるので、ダブル折り返し幅3.5~5センチというのも、想定される身長の幅は何センチ ~ 何センチなのか、という前提が無い以上無意味な数字とも言えます。

が、例外を考えてもきりがないので、160~200センチくらいの「一般的な」身長の中で考えることとします。

身長以外にも、トラウザーズ(スラックス)の裾幅も計算に入れた方がベターです。

Atlier Berunコラム

によると、

「裾口(裾幅)が広いトラウザーズには巾(ダブル折り返し幅)は少し狭め、細いものには少し広めに仕上げると、バランスがよく見えます」

したがって、身長や裾幅も考慮すべきなので、ダブル折り返し幅は一律で何センチが良い、と決めることは難しいです。

「全体のバランスを見て考える必要がある」という、私のような素人には困る答えになってしまいます。

各国のクラシック界の重鎮はどうしてる?

誰もが認め、クラシックな服装の頂点に位置する、ウィンザー公の過去の写真を見ると、私の目では折り返し幅は5センチには満たないように見えます。彼の身長が170センチ程度だった(らしい)ことも考慮すると、4~5センチくらいでしょうか。(もし間違っていたらお詫びします。写真だけで寸法の見分けがつくプロの方、アドバイスいただけると幸いです。)

チャールズ国王も、同じく4~5センチくらいに見えます。

英国人の両者は、体全体に対しての、ダブル折り返し幅のバランスは近いように見えます。

それに対し、赤峰幸生さんは、身長と折り返し幅のバランスが若干異なるように見えます。折り返し幅がやや太目の印象です。

The Rake記事から拝借https://therakejapan.com/special/a-lifetime-in-style/

イタリアに目を向け、イタリアで最もスタイリッシュだったともいわれる、フィアット元名誉会長ジャンニ・アニェッリ氏を見ると、英国人の2人とほぼ同じバランスに見えます。

上述の方々くらいのバランスであれば、クラシックの範疇に収まるということですね。

逆に、この写真くらいだと、やや細すぎ、

3センチくらい?

この写真くらいだとやや太すぎ、ということになると考えます。

6センチくらい?

その「クラシックの範疇」をあえて数字に直すのであれば、3.5~5センチになる、ということです。

まとめ、私個人の話

最後に私個人の話をします。もちろん読み飛ばしても内容に影響はありません。

私は赤峰幸生さんの影響を大いに受けていたので(今でも)、スーツの基本はミディアムグレー、シャツの襟はふんわりロールさせる、等々、動画でおっしゃっていることをマネしまくっていました(今でも)。

ダブル折り返し幅は5センチと言われているのを聞いてからは、既製品の裾上げも、トラウザーズのオーダー時も、すべて5センチにしていました。5センチだけがクラシックなのだと信じて疑っていなかったのです。

全部5センチで依頼したはずですが、左下の2本がやや狭いかも?

アトリエベルンの竹内さんにオーダーさせてもらった際は、3センチ後半~4センチをおすすめされました。

もちろん、「いや、5センチにしてください」とは言わずに、おすすめされた通りにしました。

誤解のないように言いますが、お二人のどちらが正しいとかはありません。どちらも正しいと私は信じています。

クラシックという枠組みの中で、それぞれのスタイルがあるというだけです。

お二人とも色々なスタイルを熟知、経験されたうえで、ご自身で最適と考えるスタイルを持たれているのだと思います。

どんなトラウザーズでもダブル折り返し幅は~センチ、と決めきるのも1つのスタイル、トラウザーズのデザインにより都度幅の太さを変えるのも1つのスタイルだと思います。

私にはまだ、確固たる自分のスタイルは出来ていません。

今の私の感覚では、4センチでは若干細いような気がしていて、5センチくらいが好みではありますが、その好みが絶対に変わらない自分のスタイルだと言えるほどの確信はありません。

5センチも4センチも、(まだ経験したことのない)3.5センチくらい細いのも、食わず嫌いせずに履いてみて、時間をかけてしっくりくる長さを見つけていこうと思います。

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