ミスターリネンなどというふざけた名前でブログをやっていますが、真剣にリネンを愛しています。
リネンという素材自体の良さは、汗をよく吸う、すぐ乾く、濡れても肌にくっつかない、消臭効果もある、洗濯しやすい、洗うほど目が詰まって丈夫になる、風は通すが保温効果がある、シワがあるのが当たり前(なので気にしなくていい)、等々。
そのようなことは、多くの人がご承知のことだと思います。
現に、服はもちろん、寝具やキッチン用品などでもリネンは多く使われていて、特に珍しい素材でもありません。むしろ、綿が使われるようになるずっと昔から、リネンは人々の暮らしに役立ってきました。
しかし、スーツとなるとどうでしょう。
リネンスーツを着ている知り合いは、あなたの周りに何人いますか?
ヨーロッパでは、リネンスーツは比較的浸透していて、ビジネスシーンでも夏に着ても問題が無いらしいです。(私はヨーロッパで働いた経験がないので、らしい、と言っておきます。)
しかし日本では、リネンスーツはあくまでカジュアルという印象が強いですよね。(白のリネンのスリーピースであれば、ウエディングでも着られるくらいフォーマルかも知れませんが、よほどおしゃれな人でないと着こなせないですよね、、、)
今回の記事では、リネンスーツを愛する私が、リネンスーツの良さにまだ気が付いていない人に、リネンスーツの良さの押し売りをする記事を書きます。リネンスーツっていいかも、と思う方が一人でも増えれば嬉しいです。
シワこそがエレガント
リネンスーツがカジュアルなものとして捉えられる理由としては、糸の太さもありますが、何よりシワです。
シワ=エレガントではない、という感覚が今の日本ではどうしてもあります。
確かに、スーツやシャツのアイロン掛けを全くせず、シワしわのまま着ているのはエレガントではありません。
ただのだらしがない人になってしまいます。
しかし、リネンスーツであれば、脇、肘、膝、背中などに出来るシワも、なぜかエレガントに見えます。
リネンスーツにシワが刻みこまれたこの姿が、私にはたまらなく美しく感じます。
何故なのかは自分でも分かりません。好きだから好き、それ以上何も言えません。
たとえリネンスーツでなくても、ウールでも、アイロン掛けを怠ったわけではなく、着用して仕方なくできたシワであれば、そこまでだらしなくは見えないと思うのですが、どちらかと言えばシワは無い方がエレガントですかね。
いずれにせよ、リネンスーツは、シワが最も許されやすい、かつエレガントに見えると思うのです。
シワが許されるということは、アイロン掛けをしなくてよいのかと言えば、半分正解半分間違いです。
他の素材のスーツと同じく、着る前にはトラウザーズ(ズボン)にきっちりプレスを当て、ジャケットもアイロンもしくは蒸気スチーマーを使って、シワを最小限にしてからお出かけをした方がベターだと私は思います。
でも、どうせシワは入るので、そんなに神経質にならず、軽くアイロンを掛ける程度で問題ないと思います。
あくまで気軽に着られるのは、大きなメリットです。
生地の荒い表情
リネンスーツの良さその2。生地の表情。
リネンスーツ、に限らず、リネンアイテムすべてに共通することですが、生地の表情が唯一無二です。
フレスコ、フランネル、ツイード、カシミヤ、シルク、モヘア、コーデュロイ、シアサッカー、ソラーロ、デニム、ツイル。
洋服の生地は 山ほどあるし、私なんかが知らないような生地も沢山あると思います。
それぞれの見た目は、まさにみんな違ってみんな良い、ですが、リネンはそのざっくりと荒い表情が特徴的です。
大雑把に言えば、糸が太くて、織り目が開いている(生地の目が詰まっていない)という特徴があります。
それにより、風通しが良い、肌にくっつかないなどの機能的な特徴がありますが、ここで注目したいのは見た目の特徴です。
つるっとしていないからカジュアルな印象、だけどほんのり自然な光沢もあるからエレガントさもある、という、相反するような2つの側面が共存しています。
分かりやすい例が、黒いシャツです。
コットンやシルクで黒いシャツを作ったら、ローランドさんしか似合わない、色気の強すぎるギラギラシャツになります。
しかし、同じ形の黒シャツを、生地だけ変えてリネンで作ったら、色気は程よくキープしつつも、ギラギラ感が少し抑えられ、一般人でも着られるくらいになります。
そこにシワが加わると、さらに自然に着られます。
最後に、生地がプルプル震えます。リネンアイテムをお持ちの方は、ぜひ手に持ってフリフリしてみてください。
プルプルだから何?と言われたら、何も言い返せないのですが、そのプルプル感が素敵に感じるのは私だけでしょうか?
ガシガシ着られる
リネンスーツの良さその3。
丈夫であること。
ウールのスーツと比べて、リネンスーツは圧倒的に丈夫です。
糸が太いので、擦り切れたり、破れたりする心配が少なく、耐用年数も長いです。
着れば着るほど、生地がくたっとなり、自然なシワが刻み込まれ、味が出てきます。
レザーやデニムの経年変化が好きな方なら、リネンスーツの経年変化もお好きだと思います。
上品すぎる生地だと、着られる回数が限られていて、着れば着るほどその服の寿命が縮まるような気がしてしまいます。
着て洗濯してを繰り返していくと寿命が縮まるのなら、普段はなるべく着ないで、気合入れるときだけ着よう、と思ってしまう人間です。
リネンやデニムのように、いくら着ても寿命は縮まらないし、着れば着るほどかっこよくなる。
クローゼットから服を選ぶとき、そんな服を手に取りたくなりませんか?
洗濯しやすい
リネンスーツの良さその4。
上述のガシガシ着られることと関連するのですが、リネンスーツは洗濯がしやすいというメリットがあります。
とはいえ、洗濯機にぶち込むのはリスクがあります。トラウザーズならまだしも、特にジャケットは、リネンの生地自体が問題無くても、内側の構造が崩れてしまいかねないからです。
私は洗濯機でリネンスーツを洗う勇気はありません。
ですが、手洗いであれば、水洗いも問題なくできます。
もちろんドライクリーニングでも良いのですが、ドライクリーニングでは、汗や尿などの水性の汚れが落ちず、食べ物のこぼれなどの油性の汚れしか落ちないし、化学洗剤により生地も多少は痛む、らしいです。
それを聞いてから私は、素材関係なく、ドライクリーニングに出すのは止めました。ウール素材でも、フランネルのようなぶ厚い生地でさえも、自宅の風呂場で手洗いしています。
それが面倒な方は、水洗いをしてくれる専門のクリーニング業者もありますが、やはり高額です。
上下で最低15000円はするようなので、私なら何年かに1回が限度です。
現実的な策としては、普段の着用後には、裏返して蒸気スチーマーを全体にかけてで雑菌をやっつけたり、ファブリーズをかけるなどする、トラウザーズは年に1回くらいは自宅で手洗いする、ジャケットは頑張って優しく自宅手洗いするか、面倒な方は業者にお願いする、という感じになると思います。
ともかく、ウールと比べたら圧倒的に洗濯しやすいのは大きなメリットです。
ワインをこぼしてしまった程度なら、その部分だけ水洗いするのも比較的簡単です。
意外と涼しくない
リネンのメリットと言えば、風を通すから涼しい。
というのは事実なのですが、落とし穴があります。
格好良いリネンスーツの条件は、ある程度生地がぶ厚いことだと思っています。
なぜかというと、生地が薄いと出来るシワが細かすぎて、何だか軽い印象になりやすいです。
それに対して分厚いリネンだと、出来るシワが大振りで、迫力があり、エレガントに見えるのです。
下の写真で、リネンスーツのシワと、リネンシャツのシワを見比べてみてください。
あなたはどちらのシワがエレガントに見えますか?
つまり、格好良いリネンスーツを着る=分厚い生地を着る、ということになります。
当然、分厚いと、その分着ていると暑いです。
ウールであれば、トロピカルウールとか、フレスコと呼ばれる生地で、比較的ざっくりした織り方で薄手の生地があり、それらは薄くてもシワになりにくく、エレガントな印象が出ますし、分厚いリネンよりよっぽど涼しいです。
なので、夏に格好良いリネンのスーツを着る、というのは、実は難しいと思うのです。
頑張っても最高気温30℃が限度、快適なのは27℃くらいまでです。
見る人に清涼感を与えるために我慢して分厚いリネンを夏に着る洒落者でいるか、夏は諦めて他の季節に着るしかありません。
リネンシャツについて
スーツには分厚いリネンが良いと言いましたが、シャツは薄くて問題ないと思います。というより、シャツが分厚いとタックインが出来ないし、スーツのインナーには着られないので、薄くないといけません。
薄いリネンシャツの涼しさはあらゆる素材の中でトップです。素肌にそのまま着たら、裸でいるより涼しいです。
乳首透け問題は、胸ポケットありのシャツにするか、インナーを着るか、開き直るって乳首を披露するか。
私は、真っ白リネンシャツの時は披露する勇気がなくてインナーを着ますが、それ以外は乳首は目立たないので必ず素肌に着ています。
最高に気持ち良いので、やったことが無い方はぜひ試してみてください。
まとめ
リネンスーツの、機能的なメリットデメリット、見た目の美しさ(100%主観)をまとめ、私のリネンスーツ愛を垂れ流させていただきました。
リネンスーツを少しでも良いと思っていただけましたでしょうか?
もしお金はいくらでもあげるから好きなことしなさい、と言われたら、私はリネンスーツ専門店を開こうかと思います。
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