オーダースーツ、ここをこうしておけばよかった集

オーダー

こんにちは。

ミスターリネンと申します。

オーダースーツに関してしばしば耳にするのが、

「初回は大体完璧には仕上がらない。同じテーラーで何回かオーダーして、次第に理想の形に近づいていく。」

といった内容です。

それは、テーラー目線で、回数を重ねるごとに、注文者の体の特徴や、スーツの好みをより深く理解してくれて、より良いスーツ作りに必要なデータが増えていくから。

というのもあると想像しますし、注文者側の目線でも、自分のスーツの好みがよりはっきりしていったり、着心地で気になる点が出て来たりと、「自分にとっての理想のスーツとは何か」に関するデータが増えていくのもあると思います。

後者の注文者側の目線の話ですが、

スーツのオーダー経験が豊富な注文者であれば、自分にとって理想のスーツ像が明確で、着心地で気になる点も理解していて、それらをテーラー側に伝えることが出来る為、初めてのテーラーでも、一発で理想のスーツが出来る可能性はあると思います。

が、少なくとも私はそのレベルには程遠く、これまでのオーダー経験の中でも、「ここはこうしておけばよかった」と思うことが多々ありました。

それらの後悔を経て、今ではオーダーの際は、「こういう所を重視している」とテーラー側にしっかり伝えることが出来、後悔する率はぐっと下がりました。

それでも、まだオーダー経験は人生で9回、全く経験豊富とは言えず、今後も多少は後悔することはあると思います。

今回の記事では、私がオーダースーツで後悔したことがある点を紹介します。

読んでくださった方と私とでは、スーツにおいて重視する点、気になる点はもちろん異なる為、役に立たない、気にしないからどうでも良い、という箇所はあると思います。

以下で紹介する点の中で、自分では気にしたことが無かったけど、言われてみれば大事かも、と言う点があるかもしれません。

今後オーダーされる際、そのポイントが何かの役に立つ可能性もゼロではないと思い、共有させていただきます。

ジャケット編

まずはジャケットについての後悔です。

着丈

着丈をもう少し長くしておけばよかった、という後悔があります。

この長さより、あと2センチくらい欲しかった、と後悔しています。

逆にもう少し短くしておけばよかった、後悔したことはありません。

私はクラシックな服装が好きで、現代ブランドを見ても大抵短すぎると感じるからそうなのであって、短めが好き、とはっきりわかっている方は逆かもしれません。

テーラーに、着丈の長さはどのくらいが好みですか?と聞かれることがあるかもしれませんが、特に私のような初心者であれば、自分の好みがどのくらいかさえ分からないこともあると思います。

仮縫い付きのオーダーだと、長めと短めで2つ選択肢を示してくれることもありますが、仮縫いの状態だと、完成品のイメージが沸かず、選べません。

先ほど写真で紹介したオフホワイトのリネンスーツ。向かって左の短い方にしましたが、右の長い方にしておけば良かったと後悔しています。

その人の身長に応じて適正着丈は割り出せますが、体型によっても多少は変わるし、最後はセンス、バランス感覚が頼りです。

信頼できるテーラーさんが勝手に決めてくれるのが一番楽で間違いないと思いますが、この人のセンスに任せちゃって大丈夫かな、という場合(スーツ量販店の新米社員さんのような場合?)は、おすすめされるより長めを選んだ方が、私は良いと思います。

具体的な数字は、以下の記事が参考になるかもしれません。

「ジャケット着丈研究」

袖丈

袖丈については、私は後悔したことはありません。

着るシャツの寸法が決まっており、それを基準にジャケットの袖丈を設定しているからです。

参考記事

「シャツの袖丈がまちまちなので、ジャケットの袖丈を決められない問題」

身幅

身幅については、もう少し緩くしておけばよかったという後悔があります。

逆にもう少しきつくしておけばよかったという後悔はありません。

体にびしっと沿っているジャケットは、確かにオーダーらしさはありますが、体のラインが強調されすぎると、下品になりかねません。

私は痩せ型、むしろひょろひょろ寄りの体型な割に肩幅だけはあり、ヨーロッパサイズで肩幅は48-50、ウエストは44-46くらいで、体に沿わせると、かなり絞れてしまいます。

背中のS字カーブ(肩甲骨の出っ張り~腰のくびれ)も欲しく、かなり細身でオーダーしていましたが、今ではもう少しゆとりがある方が格好良い気がしています。

(作ってくれたテーラーさんのせいではなく、私が体に沿わせることを希望したせいです。)

それに、年齢が上がるにつれて徐々にお腹も出てくるので、きついと着られなくなります。

今私が新たにオーダーするなら、多少余裕があるエレガントなウエストの絞り度合いで、多少の体重増加にも対応できるくらいにします。

参考記事

「ジャケットのウエストはどのくらい絞るべき?」

袖の太さ

袖の太さも、オーダーだと、いくらでも細くできます。

細くし過ぎて後悔したこともあるし、太くし過ぎて後悔したこともあります。

オーダー経験がほぼゼロだったころは、身幅同様、かなり細めで攻めていました。

袖が細め

ひじを曲げるときつくて最後まで曲がり切らないくらい。

それだと単純に動きづらいし、リネンスーツなど夏のスーツでは熱がこもって暑いというデメリットがありました。

その反省から、一度袖が太いリネンスーツをオーダーしました。

袖が太め

そしたら今度は太すぎる気がしました。

クラシックなのはどちらかと言えば太めだと思いますが、身幅がタイトなのに袖は太めなのが、個人的には違和感がありました。

身幅はタイト

それにリネンスーツに関して言えば、袖が太いと、ひじ付近にあまりシワが刻まれず、リネンスーツの良さが発揮しきれません。

結局は程よい太さが良いという当たり前の結論にはなってしまいますが、基準を作るとすれば、ひじを曲げてぎりぎりきついかな、と言うくらいがちょうど良いと思います。

参考記事

「ジャケットの袖の太さ研究」

ラペル幅

ラペル幅については、もっと太くしておけばよかったという後悔はありますが、その逆はありません。

8.5センチくらい。あと1センチは太くても良かった気がします。

迷ったらやや太めくらいが良いと思います。具体的には、シングルブレストの場合は9-9.5センチくらい。

ただ、これは現在の流行に私が影響されている可能性も大いにあります。

私なりに、流行に左右されないラペル幅を研究したので良ければご覧ください。

「最もクラシックなラペル幅、何センチ?」

ゴージの高さ

ゴージの高さは、低くしておけば、高くしておけば良かったという後悔はありません。

流行によって大きく変わるところだと思いますが、なるべく中庸で、高くも低くもない位置を意識してきました。

クラシックな高さだけれど、現代の感覚では、やや低い?

正式な測り方が良く分からないのですが、7-8センチくらいとテーラーさんからは聞きました。

注意したいのが、ダブルブレストの場合、ボタンを閉じた状態に比べ、開けた状態の方がラペルのトップ位置が高くなることです。

ボタンを開けて、ラペルのトップ位置が肩を超えてしまうくらいでは、高すぎると思います。

ポケットの種類

通常の切りポケットにするか、パッチポケットにするか。

左と真ん中がパッチポケット、右が切りポケット

という選択肢があります。

フォーマルなスーツは切りポケット、カジュアルなスーツやジャケットはパッチポケット、という目安があります。

フォーマルなスーツは切りポケット一択ですが、カジュアルなスーツやジャケットは、特に現代の流行からも、パッチポケットが採用されることが多いです。

私は以前、単品ジャケット=パッチポケット、という勘違いをしており、単品ジャケットとしても使用したいスーツ(例えばリネンスーツ)はパッチポケットでなければならない、と思っていましたが、それは間違いでした。

参考記事

「単品ジャケットはパッチポケットにすべき?」                       

確かに単品ジャケットとして使用するときには、パッチポケットは相性が良いですが、切りポケット(フラップ付き)でも全く問題なくジャケパンに使えるので、次回以降は生地や形によって慎重に考えるつもりです。

裏地の色、範囲

裏地についてです。

裏地の色を地味にしておけばよかった、という後悔があります。

こちらはブラウンのリネンスーツに裏地がパープル。

色としては素敵だと思いますが、スーツと同じ色のブラウンで良かったと思っています。

ジャケットを脱いで人に見られるときに、頑張ってお洒落してなこいつ、と思われたくないからです。自意識過剰ですが。

総裏地か、背抜きか、といった裏地の範囲も迷いどころだと思いますが、夏に着るスーツは背抜き、それ以外のシーズンは総裏地が良いと思います。

むしろリネンスーツは、背中も、袖の裏地も含めて一切裏地無し、というのも挑戦してみたいです。

裏地が少しあるだけで、リネンの涼しさは半減すると思うからです。

袖の裏地については、無くすと腕の通りが悪くなるので、その場合袖の太さは少し緩めにすると良いかもしれません。

ボタンホール

ボタンホールを手縫いにするか、ミシン縫いにするか、選べる場合。

少しお金をかけてでも、手縫いにした方が良いと私は思います。これも私の自意識過剰さがゆえに、ボタンホールを見られて、手縫いだと舐められなさそうだと思うから。

手縫いでも、ミラネーゼというスタイルのボタンホールがあります。

ミラネーゼ

これは、いかにも手縫い感が出ていて素敵です。

何度かこの仕様にしてもらいましたが、今は若干Too Muchな気がしています。

手縫い感はある、けどアピールもし過ぎない、ちょうど良い塩梅が、ミラネーゼではないシンプルな手縫いだと私は考えています。

シンプルな手縫い

一番最近オーダーしたDORSOさんでも、ボタンホール手縫いのオプションは付けましたが、ミラネーゼにはしませんでした。

DORSOさんのミラネーゼはアピール感が控え目でアリな気もする(偉そうにすみません)ので、今後はミラネーゼでお願いするかもしれません。

参考記事

「DORSOオーダー体験記(1回目)」

マニカカミーチャ

袖の付け方を、いわゆるマニカカミーチャと言う、シワを敢えて見せる仕様があります。

イタリアスタイル(特にナポリなど南部)では採用されることが多いとも聞きますが、ナチュラルさがあって、人の手のぬくもりのようなものを感じ、素敵だと思います。

が、私は過去に何度か挑戦し、後悔というほどでもないですが、無くても良かったなと思っています。

ボタンホールと同じで、アピールしすぎのような気がしてしまうからです。

マニカカミーチャの中でも程度の差はあり、特に分厚い生地などであれば、シワもほんのわずかにしか入らないので、ちょうど良い塩梅になることもありますが、基本は肩にはシワを入れなくて良かった、と今では思っています。

一番左のはシワがやや目立ちすぎな気がします。他のものは控えめで良い気がしています。

ジャケットについては以上です。

色々な後悔がありましたが、一言で言えば、「普通」にしとけばよかったという後悔です。

英国スタイル、イタリアスタイル、ナポリスタイル、テーラー○○スタイル、等あるかもしれませんが、なるべく特徴のない、目立たないスタイルが良いと思うようになりました。

「俺のスタイル」が固まっている方はそれを貫くのが格好良いと思いますが、そうでない場合は、普通を追求するのが良いのではないか、と私は考えます。

スラックス編

すでにかなり長くなってしまっていますが、ようやくスラックス編に移ります。

裾丈

スラックスの中で最も重要なのが、裾丈です。

もっと長くしておけばよかったという後悔はありますが、もっと短くしておけばよかったという後悔はありません。

2025年1月現在、スーツのスラックスの流行としては、程よい太さ、裾丈はノークッション~ハーフクッションくらいでしょうか。

何年か前には、細くてノークッションのスラックスが流行だったこともありましたね。

その当時に買った・作ったスラックスが、今では短く・細く感じ、長く・太くするお直しに出している方も少なくないと思います。

お直しで修正できれば良いですが、生地が足りずにどうしようもないケースもあります。

私は当時の流行に乗って、こんなスラックスを作ってしまいましたが、生地が足りずにお直しでは修正も出来ず、悔しい思いをしました。

短すぎ&裾幅細すぎ

今後は太くて長いバギーのようなスラックスが流行るかもしれません。

でも、ジャケットの結論で述べたように、結局は普通が一番であり、普通のスラックスの裾丈は、ハーフクッション~ワンクッションだと考えます。

参考記事

「トラウザーズ裾丈研究」

太さ

スラックスの太さについては、私は普通~やや太めが好きで、今までは後悔することなく来れました。

渡り幅で言うと、30センチくらい。

太い方がシワも出来にくいし、ストンと下に落ちてくれて美しく見えるし、生地に汗が付きにくいし、良いことだらけです。

多分、スラックスの太さについては自分の好みが固まっていて、今後も変わることが無いという自信があります。

ダブル折り返し幅

スラックスの裾をダブル仕上げにする場合、その幅を何センチにするか問題があります。

私は、もう少し細くしておけばよかったという後悔があります。

赤峰幸生さんが、ダブル幅は基本5センチ、と言われているのを聞いて、しばらくは5センチで通していました。

しかし、今は4-4.5センチくらいが良いと思っています。

生地や、後で述べる裾幅によっても合うダブル幅は変わってきますが、例えばヘビーリネンで、裾幅も23センチ程度と太めのスラックスだと、5センチの裾幅では若干足元が重すぎる感があると思います。

あと1センチ細く、4センチくらいで良かった気がしています。

落合正勝氏は著書の中で3.5-4センチが最もクラシックと述べられています。

3.5-5センチくらいの範囲内で、その人の好みで決めればよいのだと思いますが、私は4-4.5センチが基本になると考えます。

参考記事

「ダブル折り返し幅研究」

ダブル折り返し、糸留め or スナップボタン

クラシック派の方は糸で留めることが多いと思いますが、中にたまったホコリを取るには、スナップボタンの方が便利です。

が、スナップボタンは見えると格好悪いというデメリットがあります。

私はスナップボタンで後悔したことがあり、糸留めでは後悔したことはありません。

機能より見た目重視だからです。

裾幅

こちらもダブル折り返し幅同様、好みの要素が大きいですが、私はもっと太くしておけば良かったという後悔はあっても、細くしておけば良かったという後悔はありません。

具体的な数値は、スラックスの太さ、足の長さ、合わせるジャケットのデザインによっても変わってきますが、クラシックなのは21-24センチくらいの範囲だと思います。

21.5センチくらい。こちらはオーダーではなく、既製品の裾幅をお直しで1センチほど伸ばしました。もう少し伸ばしたかったですが、生地が足りませんでした。

ジッパーかボタンフライか

私はオーダーのスラックスはジッパーしか選んだことが無く、ボタンフライは未経験です。

ボタンフライの方が格好良いと思いますが、楽さを優先してきました。

ジッパーで後悔したことはありません。むしろボタンフライにするとトイレのたびに後悔しそうな気がします。

お尻ポケット

ポケットを両方つけるか、片方にするか、ゼロにするか。

それぞれやってみた結果、両方あるのがベスト、最低でも利き手の方に1つは必要だと思います。

ポケットゼロは潔くて格好良い、と思ってやったことがありますが、とても不便で後悔しています。

スラックスの横ポケットにスマホ等を入れるとシルエットが崩れてしまうため、お尻に収納したい時に、ポケットが無いと困ります。

ベルトループありか、サイドアジャスターか

私はサイドアジャスターが好きで、サイドアジャスターにしかしたことが無いですが、後悔したことはありません。

サスペンダーボタンは付けるのか

スラックスのウエストの内側にサスペンダーを吊るすためのボタンを付けるのかどうか。

私は、付けずに後悔したことがあります。

サスペンダーをしなくても、ボタンが付いている分には困らないので、とりあえずつけておくのが良いと考えます。

タック(プリーツ)の数、向き

こちらも好みの問題ですね。私はタックは2つで固定、向きはインかアウトかはまちまちにしていますが、いずれの場合も後悔したことはありません。

アイロンを掛けやすいのはインだと思いますが。

裏地

春夏生地は前もも部分のみ、秋冬生地は総裏地にしています。出来る限り生地を汗と尿から守りたい思いと、暑くなるのは嫌だという思いがせめぎあった結果の、私なりの結論です。

フランネル生地のスラックス。総裏地。

参考記事

「スラックス総裏地のススメ」

秋冬生地で、総裏地にしなくて後悔したことがあります。

裏地が無い箇所に、残尿が届いてしまうことがあるからです。汚くてすみません。

年中ステテコにホーズを履き、生地に汗が直接付くのを防げるのであれば、特に夏の涼しい生地に関しては、裏地一切無しでも良い気がしています。

ステテコ×ホーズ

涼しさが最優先です。

まとめ

ものすごく長くなってしまいました。

私がスーツのオーダーでしたことのある後悔例をご紹介しましたが、そのどれもが、「普通」「クラシック」「無国籍」から逸れてしまった時に発生した後悔です。

私は、なるべく個性のないスーツが好きなのでそういう後悔が多かったですが、自分のスタイルがはっきりとあって、他人から邪道だと言われても自分のスタイルを貫く人が、本当は一番格好良いと憧れを持っています。

私はまだ勉強中の身なので、なるべく個性を出さずに、今後もスーツを買って、着ていきたいと思います。

そして長い時間をかけて、自分のスタイルを見つけ、自信を持ってそれを出していけるようになれることを目指します。

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