こんにちは。ミスターリネンと申します。
ヴィンテージ時計が好きです。
現行時計も素敵なものが沢山ありますが、ヴィンテージにしか出せない味、今は無きデザイン、大きさ、手の届きやすさなどの要素から、私はヴィンテージ時計の方が好きです。
しばらく前に、カルティエのヴィンテージ時計を購入しました。
ところが、文字盤にダメージがありました。
カルティエブティックに持っていき、文字盤を交換したのですが、その流れ、かかった金額、交換する際の落とし穴、等をご紹介します。
検討中の方など、参考になれば幸いです。
購入した時計
こちらが、購入した時計です。
正式名称がサントスカレ、別名サントスガルベとも呼ばれます。
現行でも、類似モデルあるのですが、現行モデルは、全体的に丸みを帯びています。
ブレスレット、時計本体共に、腕に沿うようにカーブしています。
それに対し、ヴィンテージのサントスカレは、角ばっていて、フラットな印象です。
現行の方が、腕に沿い、付け心地が良いのですが、私はヴィンテージの角ばった感じの方が好きです。
車に置き換えると、ディフェンダーというイギリスの車も、ヴィンテージのものは戦車のように角角しているのに対し、現行モデルは丸みを帯びています。
サントスガルベを購入したのは、とある質屋さんです。
当時の箱、保証書等がフルセットでそろった、前所有者から大切にされていたことが伺える品でした。
文字盤にダメージが
ヴィンテージ時計が好きで、文字盤が経年により変色していたり、小傷が入っていたとしても、気にしないどころかむしろ嬉しいくらいなのですが、この時計は重症でした。
文字盤に、ひび割れ+ぷつぷつと斑点が出ていたのです。
カルティエの場合は特にですが、ヴィンテージだと、文字盤が割れている率がとても高いです。
私事ですが週末にヴィンテージ時計屋でアルバイトをしていて、沢山の時計を見る機会があり、実際に見てきた体感として、半数近くが割れ有りと言っても過言ではありません。
ひび割れは(クラックとも呼ばれます)、仕方ないものです。
文字盤の加工の技術が、現行時計と比べると、どうしても丈夫さの点で劣るので、ちょっとした衝撃でも割れてしまうのです。
ひび割れ以外にも、ぷつぷつと斑点が出ていました。
これは、原因特定が難しいですが、何らかの理由で時計内に水分が入り、その蒸気が起こしたものの可能性があります。
直すか、直さないか
購入したのが質屋だったため、時計の中身の機械のメンテナンスは未実施で、自分でどこかの時計店に持っていき、オーバーホール(機械の分解掃除)を行う必要がありました。
良く行く時計店に持っていくと、オーバーホールは実施できるけど、文字盤のダメージはどうすることも出来ません、と言われました。カルティエのブティックに持って行けば、文字盤を丸ごと交換することが出来るようです。
ヴィンテージの時計でも、文字盤や針、そのほかどんなパーツでも交換が可能なのだそうです。ヴィンテージの時計のパーツは、もう製造していないというイメージがあったので、驚きでした。
ただし、注意点が、文字盤の交換だけは受けてくれないこと。
コンプリートサービスと言って、オーバーホールを含む総合メンテナンスを注文した人にだけ、オプションとして、文字盤の交換も受けてくれるそう。
正規店にオーバーホールを頼むと、街の時計店よりは確実に値段が高いので、文字盤交換だけやってほしかったですが、その選択肢はないようです。
コンプリートサービスサービス+文字盤交換で、おそらく10万円は超えるとのことで、非常に迷いました。
文字盤がそのままでも良ければ、街の時計店でオーバーホールだけしてもらえば、時計として普通に使えます。
くだらない理由ですが、私が集合体恐怖症で、斑点が苦手なので、ひび割れだけならそのままにしたかもですが、ブティックに持っていくことにしました。
コンプリートサービスの内容
せっかく行くならと、多分日本で一番大きい、建物丸ごとカルティエのブティック(Cartier 銀座ブティック)に行きました。
専用フロアに案内され(個室ではありません)、ペットボトルの水を出してもらい、慣れている風を装いつつも若干緊張しながら、スタッフの方に相談しました。
事前に聞いていた通り、コンプリートサービスとセットでのみ、文字盤交換を受けてくれるそうです。
銀座の行ったブティックは、修理工房併設のため、見積もその日中に出してくれます。他店舗だと、発送が必要なため数日かかります。
金額は以下の通り、約11万円でした。高いですが、仕方ないのでこれで進めてもらうことにしました。
見ていただくと分かるのですが、文字盤交換は別料金ですが、針交換はコンプリートサービスの中に含まれます。
後悔
一か月くらいして、出来上がった品を受け取りに行きました。
文字盤がピカピカになって帰ってきました。
大変満足です。
と言いたかったのですが、正直ちょっと後悔しています。
まず、ビフォー&アフターをお見せします。
基本的なデザインは変わりません。
よく見ると、6時位置の下にある、SWISSの文字が、SWISS MADEに変わっています。写真が見にくくてすみません。
カルティエは、90年代後半か2000年代くらいから、SWISSを終了し、SWISS MADEを採用しています。
つまり、当時のヴィンテージ文字盤を今でも沢山保管してあり、私のような文字盤交換依頼があれば、それを使う。
のではなく、ヴィンテージ時計に合うデザインで、最近製造した文字盤、ということが分かります。
最近製造したということは、素材も丈夫になり、割れが起こりにくくなっています。
6時位置下の文字が変わるのは、私個人としては、そこまで気になりませんでした。
オリジナリティを重視する方にとっては、マイナスポイントになるかも知れませんが。
もう一つの変化ポイントが、文字盤の色です。
写真で伝わるか分かりませんが、白の色味が、普通の白→陶器のような透き通った白、に変わっています。
言葉で表現するなら、白の板の上に、薄いガラスを置いたような感じです。
透き通った白なら悪くない気がしますが、私の感覚では、綺麗すぎるのです。
文字盤だけが、時計から浮いているような感じです。ヴィンテージの時計ケースに、新品の文字盤、やや違和感があります。
文字盤交換にこんな落とし穴があるとは、考えもしませんでした。
検討中の方へ
私と同じモデルでなくても、カルティエヴィンテージを購入した、もしくは購入しようか考えている方で、文字盤の状態が気になっている方。
ちょっとのダメージも気になる方でしたら、交換するのは良い選択だと思います。
しかし、完璧な綺麗さを求める方は、そもそもヴィンテージではなく、現行品の方が良いかもしれません。
ヴィンテージ時計とは、完璧ではないその味が魅力、とも言えます。
私は、時間を戻せるなら、文字盤交換はしません。
私から言えるのはそれだけです。
ちなみに、今回は白い文字盤でしたが、カルティエには赤や青、グレーなど様々な色の文字盤があります。
どの色でも、文字盤交換は対応してくれます。
赤い文字盤で交換されたものを見たことがありますが、そちらはヴィンテージのものと風合いがほぼ同じで、6時位置下の文字がSWISS MADEに変わっただけ、という感じでした。
なので、白だけ注意、なのかもしれません。
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