ウールのスラックスを自宅で洗う方法

ケア

こんにちは。ミスターリネンと申します。

先日、スーツのお手入れについて、蒸気スチーマーがあればクリーニングは3-5年は不要だ、ということをご紹介しました。

「蒸気スチーマーがあれば、クリーニングは5年に1回で良くなります」

それでも、大汗をかいてしまったり、ビールをこぼしてしまうときもありますよね。

スチーマーだけではどうしようもない、けどドライクリーニングに出しても、水性汚れである汗やビールは、落ちない。

プロの水洗いクリーニングに出したら、最低15000円くらいするし。

そんな時は、自宅で水洗いしてしまえば良いのです。

実際にやってみると、びっくりするくらい簡単です。

その方法をご紹介します。参考になれば幸いです。

スーツは本来、水に弱くない

大抵のスーツは、洗濯表示に水洗い×と書いてあります。

しかしそれは、×と書かないと、洗濯機にぶち込まれて台無しになった時に、メーカー側の責任になるのを防ぐ為であって、実際は水洗いが可能なことがほとんどです。

本当の意味で水洗い×なのは、シルクやレザーくらいです。

スーツの大半を占めるウール素材は、羊の毛です。天然の動物が、雨に弱いはずがないですもんね。

ウール以外の、コットン、リネンなどであれば、もっと余裕で?水洗いが出来ます。

なので、ほとんどのスーツ(というよりほとんどの服)は自宅で水洗いが可能です。

洗うこと自体は簡単でも、縮まないよう、高温の熱風も使わず素早く乾燥させるのと、

シワを伸ばすプレス(アイロンかけ)が、とても難しいのです。

そこにプロの水洗いクリーニングの存在意義があると思います。

自宅で洗えるのはスラックスのみ

スーツはジャケットとスラックスに分かれます。

洗うこと自体は出来ても、乾燥とシワを伸ばすプレス(アイロンかけ)が、とても難しい。

と述べましたが、それは特にジャケットに当てはまることです。

ジャケットは、立体的な造りをしています。

Vゾーンは立体感が命、とか言われますが、だからこそ、立体感のある仕立てのジャケット=良いジャケットと言われるのだと思います。

それだけ立体的な服を、立体感を崩さないままプレスするには、技術もですが、専用の道具が必要です。

例えば、袖部分。丸い筒のようなアイロン台があれば、そこに袖を通して上からプレスすればOKです。

しかし、そんなのが自宅にある人はまずいません。

代用として、バスタオルを丸めて腕に通すと良い、と知った私は試してみましたが、中々うまくいきませんでした。

もっと難しいのは、肩と胸回り。

マネキンが家にある人は、マネキンに着させて、その上からプレスすればよいですが、マネキン無しでやるのはまず無理です。

それに対してスラックスは、履いた時は立体感が出ますが、横にして床に置けば、ただの平たい布です。

普通のアイロン台があれば、プレスするのはごく簡単です。

なので、スラックスは自宅で水洗いが出来てしまうのです。

洗い、すすぎ

ここから具体的にスラックスの水洗い方法をお伝えします。

最初に洗剤を用意します。

エマールなどの市販のおしゃれ着用洗剤でも問題はありませんが、私はカシミヤ用のこちらの洗剤を購入しました。

カシミヤのスーツなど持っていませんが、カシミヤに使えるくらい繊細なら、他のどの素材にでもダメージは無いだろうと思ったからです。

場所としては風呂の浴槽が最もやりやすいです。

浴槽に、水(お湯はNG)を貯めます。スラックスが完全に沈むくらい、高さで言うと15センチくらいでしょうか。

そして、洗剤を適当な分量投入します。少なすぎると洗浄効果が無いので、多めに入れます。

かき混ぜて泡泡になるくらいが目安です。

そうなったら、思い切ってスラックスをドボンと入れます。

その際、アイロン掛けをするときのように、平たく置く形で、丁寧に入れます。

完全にスラックスが沈みこんだら、手で優しく押したり、揺らしたりして洗剤が生地に浸透するようにします。

そのまま数分置きます。何分置くかは、正解は分かりません。私は2、3分にしました。

その後風呂の栓を抜き、水を排出します。

次はすすぎのステップです。

すすぎは、水をためて、栓を抜いて、を繰り返すのではなく、シャワーを有効活用します。

スラックスの外からも中からもシャワーをひたすら当てて、できる限り洗剤を落とします。

これ以上泡が出ないな、となったら、仕上げとしてまた浴槽に水をため、洗いの時のように手で優しく押します。

それでも泡がまだ出るようなら、同じことをもう一度繰り返し、泡が完全に出なくなったら完了です。

脱水、乾燥

次に乾燥のステップです。

乾燥の前に、脱水が必要ですね。

すすぎの後は、水をたっぷりしみ込んでいて、持ち上げたら水がボターーーーと垂れまくる状態です。

タオルのように絞ることはできないし、洗濯機の脱水機能だけを使うのも手ですが、私はそれも怖いので、バスタオルでスラックスをサンドイッチして、水をひたすら吸収させます。

バスタオル1枚では多分足りないので、惜しみなく何枚も使います。ここでどれだけ水分を取れるかが重要です。

次に乾燥です。

脱水が終わったスラックスは、クリップで留めるタイプのハンガーに吊るします。

真ん中あたりで半分に折り曲げて掛けるタイプのハンガーだと、布が重なる部分が多く、乾燥に時間がかかるからです。

ハンガーを2本使ってこのようにするとより早く乾いてベターです。

ある程度乾いたら、上下さかさまにすると、重みでシワが伸びてくれて効果的です。

最初からさかさまだと、重すぎてハンガーからずり落ちる可能性が高いです。

自宅に浴室乾燥機能がある方は、浴室に入れるのが最も早く乾かせます。

浴室内が高温になるので縮まないか?と心配されるかもしれませんが、コインランドリーの高温乾燥ほど高温ではないので、大丈夫です。(実際にやったけど大丈夫でした。)

浴室乾燥が無い場合は、自然乾燥しかありません。

扇風機を当てて、エアコンのドライをオンにするなどして、なるべく乾燥を早めるしかありません。

とはいえ、夏はいくら頑張っても湿気が多いので、やめたほうが良いと思います。

私は、夏物も冬物もまとめて冬の乾燥した時期に洗います。

天日干しはやったことがありませんが、多分縮みが起こりやすくなるのでお勧めできません。

乾燥に時間がかかると、水シミが出来てしまうことがあります。

このスラックスは、ポケットのあたりがまだ濡れている状態ですが、そこだけ中々乾かず、結局水シミになってしまいました。

(浴室乾燥なしで扇風機だけでやった結果)

水シミを防ぐ対策は、私には分かりません。

タオルドライでどれだけ水気を取り、室内がどれだけ乾燥しているかが勝負だと思います。

プレス

ここまでやって、完全に乾いたら、後はプレスするだけです。

上述の方法で乾燥までさせていれば、シワはほとんど出来ていないはずです。

なので、普通にアイロン掛けをするだけです。

生地によっては、センタークリース(中央の折り目)が消えかかってしまうこともあるかと思いますが、以前あったクリースの跡がうっすら残っているはずなので、その位置に合わせてプレスすればOKです。

まとめ

以上が、スラックスの自宅手洗いのやり方でした。

このやり方なら、私の経験上縮みも一切起こりません。

リネンやコットン生地はもちろん、ウール素材でも、ライトなものだけでなく、重めのフランネル生地のものもやりました。

フランネルは分厚いので乾きにくいのでは?と思いましたが、起毛していて空気を多く含む作りだからなのか、案外早く乾きました。

ツイード生地だけやったことが無いので、いずれ挑戦してみようと思います。

手間はかかりますが、ほぼ無料ですし、何よりメインの汚れである汗と尿が綺麗に落とせるのが気持ちいいです。

自宅水洗い、やったことが無い方は試してみてはいかがでしょうか。

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