こんにちは。ミスターリネンと申します。
クラシックな着こなしが好きな方にとって、「クラシックなドレスシャツ=胸ポケット無し」というのは常識かもしれません。
既製品ので気に入ったシャツがあるけど、胸ポケットがついてる!邪魔だな~、と思ったことがある方も少なくないと想像します。
胸ポケットは取れる
そこで提案です。邪魔ならば取ってしまえばよいのです。
実際に私は、これまで何枚もシャツの胸ポケットを取ってきました。
胸ポケットを取るのは案外簡単です。百均でリッパーと呼ばれるこの道具を用意するだけです。
後は、丁寧に糸を切っていくだけです。上の端部分は強度を増して縫いつけてあるので、少し厄介ですが、私のような素人でも問題なくできます。
おすすめは、新品で一度も洗っていない状態で取ることです。理由を説明します。
胸ポケットを完全に取ると、元々糸が通っていた部分にわずかに穴が開いた状態になり、近くで見るとポケットの縫い目の形に穴が沢山開いている状態になります。
その穴を見えなくするには、一度洗濯すればOKです。
シャツの生地は洗うと織り目が詰まってきます。ポケットを取ったことによりできた穴も、洗って生地の織り目が詰まることにより、ほぼ分からないくらいに目立たなくなるのです。
既に一度洗ったことのあるシャツのポケットを取るというのは、洗ったことで既にある程度目が詰まっている生地に穴を開けるということです。
既に目が詰まっているので、再度洗ってもそれ以上目が詰まりにくく、開いた穴もふさがりにくい、ということです。
でも安心してください。何度か洗った後に胸ポケットを取ることを実際にやりましたが、さらに何度か洗っていけばほとんど目立たなくなりました。
それに、人にシャツの胸をジーっと見られることもなかなかないので、跡が残ったとて、問題ないと思います。
触るな危険!の胸ポケット
胸ポケットを取ることなんて余裕、と得意になった私は、胸ポケット付きのシャツを買っては胸ポケッ取って、ということを繰り返しました。
ところが最近、大事件を起こしてしまったのです。
それがこちら。
ポケットを取ったら、大穴が開いてしまいました。
原因は2つ。
1つは、ポケットの上2つの端部分が、ミシンでものすごくがっちりと縫い合わされていたこと。
ベルトループなど、強度が必要な個所で使われる縫い方です。
この縫い方は、強度があるので丈夫なのですが、その分下の生地へダメージがかかっています。
下手をしたら、下の生地が破れてしまっていることもあります。
それだけ強度な個所を無理やり取り取ろうとしたので、うまく糸が切れず、下の生地まで切ってしまったのです。
もう1つの原因は、お酒が入った状態で作業したこと。
(ここから次の章までは無駄話なので読み飛ばしても問題ありません)
ある休みの日の夜、自宅でお酒を飲んでそこそこ酔っぱらっていた状態で、メルカリで買ったリネンのシャツが届きました。
手元に届いたら即着たい私は、早速試着し、他のアイテムと合わせて一人ファッションショーをしました。
もちろん事前に胸ポケットがついていることはわかっていたので、ファッションショーを終えて満足すると、早速ポケットを取る作業に取り掛かりました。
しかし酔っぱらっていたせいで、判断能力の低下+手元の緩さ、で作業が雑になってしまいました。
うまく糸が切れなそう、とわかった時点で作業をストップすればよかったものの、えいやと無理やりやってしまったのです。
バカすぎます。
かけはぎ or 別生地貼り付け
メルカリで安く買ったシャツとは言え、まだ一度も着ていないのに諦めて処分する、などという選択肢はありませんでした。
早速近所にある、信頼できるおばあちゃんがやっているお直し屋さんに持っていきました。
そのおばあちゃんは、メンズスーツを昔作っていたことがあり、相当服に詳しい方で、既製品のスーツをお直しする際は私は必ずこの方にお願いしています。
今回シャツを見せたところ、2つの選択肢を提示してくれました。
1つ目が、かけはぎというやり方。ざっくり言うと、破れた箇所に糸を編み込んでいくやり方で、見た目にも全く分からない仕上がりになりますが、相当高い技術が必要で、値段も1穴で1万円近くかかります。
2つ目が、別の生地を裏から当てて、貼り付けるやり方。こちらは値段的には安いけど、どうしても跡が残ってしまいます。特に私の場合、生地がチェック柄なので、1種類の糸を使う以上、どうしても糸が目立つ箇所が出てきてしまいます。
1万円以上出すのは嫌だったので、2つ目にしたいです、と言ったら、「あなた服が好きなんでしょ、だったらやり方を教えてあげるから自分でやってみなさい」と言ってくれたのです。
しかも、教えてくれるだけでなく、必要な接着剤のシートと、ぴったりの色の糸までプレゼントしてくれたのです。優しすぎて涙が出ます。
具体的な修復方法
修復方法の流れはざっくり言うと2ステップ。
①柄が合うよう、穴の裏に取ったポケットの余り布を置き、熱で溶ける接着剤を間に挟み、アイロンで高温プレス
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② 洗濯しても余り布がはがれないよう、糸で余り布を縫いつける。
この2つのステップをもう少し細かく説明する為、細かいステップごとに順を追って記載します。
まず、空いた穴周辺のほつれた糸を切り取り、穴のふちをはっきりさせる。
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はっきりした穴の形に合わせて、接着剤のシートにサインペンで印をつけ、穴の形に合わせてシートをくりぬく。(くりぬかないと、接着剤が表面に出てべたべたしてしまうから)
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ポケットの余り布を、穴の柄に合う箇所を含む周囲2センチくらいにカットする。(接着剤シートと同じくらいの大きさが良い)
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下から、シャツ本体、接着シート、余り布、の順にサンドして、アイロンで高温プレス
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余り布がくっついたら、補強のために周りを糸で縫う。余り布の周囲+穴の周囲、両方とも縫う方が良いです。
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縫い方のポイントは、表からどれだけ糸を見えなくさせるか。下から針で刺し、その穴から糸一本挟んで隣くらいに針で上から刺すイメージです。穴の後は目立ちますが、糸はほとんど目立っていないと思います。
穴の周囲は、ほつれが拡大しないように補強のために縫いますが、糸は目立たなくても、穴自体の形はどうしても目立ってしまいますね。
これで完成です。
チェック柄の中に溶け込んでくれるし、リネンのシワで半分ごまかせるし、見えるっちゃ見えるけど、普通に外に着て行ってもいい、と思える仕上がりになりました。
まとめ
このシャツいいな、でも胸ポケットが邪魔だな、と思ったら、取っちゃえば良いんです、ということをまずはお伝えしたいです。
胸ポケットを取るのはとても簡単です。
取る作業中に、少しでも不安を感じたら、私のように自己判断でえいやと進めてしまうのではなく、一旦ストップしてお直し屋さんに持っていくことをお勧めします。
無料でここまで修復することができて、大満足であるとともに、お直し屋さんのおばあちゃんに感謝でいっぱいです。
今後どんなに遠くに引っ越そうとも、服をお直しする際はこのおばあちゃんにお願いしようと誓ったのでした。
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