ジャケットのウエストはどのくらい絞るべき?

クラシックのルール研究

こんにちは。ミスターリネンと申します。

スーツをオーダーで作るなら、自分の体に合ったものを作るのは当然ですよね。

しかし、体に合う=体のラインにぴったり沿っていればいるほど良い、というわけではないですよね。

もしそうなら、ピチピチパツパツのスーツが良いということになりますが、クラシックでエレガントなスーツは、ある程度ゆとりがあり、でもぶかぶかとは異なり、男性の体を格好良く見せてくれるものであるべきです。

肩幅よりウエストの方が細い人が大半だと思いますが、ジャケットのウエストはどのくらい絞るのが正解なのでしょうか?

「ジャケットのボタンを留めてシワができないくらい」

「ジャケットとシャツの間にこぶし(もしくは手のひら)が入るくらい」

等々、色々な測り方、考え方があるようです。

流行に左右されない、クラシックなウエストのサイズ感はどのくらいなのでしょうか。

今回はそれを研究します。

国による違い

まずは、国による傾向の違いをご紹介します。取り上げるのは、英国、イタリア、アメリカです。

あくまで傾向です、国内すべてがそうというわけではないことご承知おきください。

スーツの源流である英国は、3国の中で最も絞りがきつい傾向にあるようです。

肩パッドが入りがっちりした肩、しっかりとシェイプされたウエストで、威厳のある風貌です。

落合正勝氏『男の服装術』より拝借

イタリアは、ナチュラルだけど広めの肩、ウエストの絞りは英国より緩め、リラックス感、余裕のある雰囲気です。

アメリカは、一言でいえばボックスシルエット。

好み

もちろん、~国人だから~なスタイルにしないと変、ということはありません。

その人が好きなスタイルよって選択すれば良いと思いますが、クラシックの範疇からは外れてはいけない、というのが私の考えです。

とはいえ、その「クラシックの範疇」というあいまいな境界線が難しいですよね?私にとっては難しいです。

クラシックの範疇から外れているであろう、以下のようなフィット感は、NGだということが分かりやすいです。

タイト
ルーズ

では、以下の写真(私の写真ですが)はどうでしょうか?

割とタイト目だと思います。着ていても、きついということは全くありませんが、ゆとりは少なく、こぶし1個は入らず、手のひらが入るくらいです。

私は肩や胸に対してウエストが貧弱(76センチ、デニムだと30インチがジャスト)な体型なので、絞り過ぎるとバランスが悪くなる体型です。

2枚ともタイト目ではありますが、クラシックの範疇に収まるフィット感だと信じています。

両方とも、ミケーレシンさんという、イタリアナポリに工房を構えるテーラーさんの作品です。「国による違い」の章で、イタリアはウエストの絞りが英国より緩め、と書きましたが、現代ではイタリアも絞りきつめのところが多いような気はします。

では、この写真はどうでしょうか?

こちらは古着で見つけた既製品ですが、ウエストにはこぶしが1つ入るくらいのゆとりがあります。それでも、軽く絞りは入っていて砂時計型にはなっていますね。家の中なのでポロシャツデニムなのは無視してください。

写真で初めて肩が水平でないことに気づき、姿勢を正そうと心に誓いました
生地はもちろん、リネン

こちらもクラシックの範疇に収まっていると信じたいです。

それでも、この絵のイタリアのウエストの絞り度合いよりはまだ細いので、ウエストの絞り度合いに関して言えば、クラシックの範疇は結構広いということでしょうか。

後ろから、横から見たシルエット

自分では確認しづらいですが、正面から見たシルエットだけでなく、後ろから、横から見たときのシルエットにも注目してみると良いかもしれません。

後ろからのシルエットは、前からのシルエットと似ているので良いですが、横から見るシルエットは、ウエストの絞り度合いでかなり変わってくると思います。

ウエストの絞りが強めのジャケットの場合は、肩甲骨が出っ張っているのに対し、腰部分がへこんでいて、S字のようなシルエットになります。(ある程度痩せている方であれば)

果たしてS字が良いのかどうかは、私には分かりません。

体のラインが強調されすぎるのは、エレガントではなく、クラシックの範疇から外れると思うので、S字ができるにしてもほどほどに、が良いのでしょう。

私の場合は、筋肉ムキムキでもないので、S字はほどほどだという自己判断ですが、いかがでしょうか。

前の章で取り上げた、ややゆとりのある白いリネンのジャケットは、S字はほぼありません。

これでも全く変ではないし、クラシックの範疇内だと思いますが、もう少しだけへこんでいた方が、着ている人の体に合っていて格好良いと思います。個人的な意見です。

お直し

お持ちのジャケットで、肩や胸はぴったりだけど、ウエストが若干緩い、もしくはきついという場合、お直しも可能です。

が、ウエストの変更は、ジャケット全体に影響が及ぶので、注意が必要です。

全体のバランスを見ずにウエストだけ絞ると、肩甲骨のあたりにツキ皺ができてしまうなど、今度は他の箇所に影響が出ます。

と分かったようなことを言いましたが、私はお直し作業をしたことはなく、信頼できる近所のお直し職人のおばあちゃんから教えてもらった話です。

スーツの仕組み(パターン)をよく理解されている方であれば、~センチまでなら他に影響が出ないで絞れるけど、~センチを超えるとここがこうなるよ、とアドバイスをくれると思います。他に影響が出ない範囲で絞れば良いと思います。

まとめ

今回は、具体的な結論が出ませんでした。

だらだらと、「~ではないでしょうか」という疑問を投げかけるだけの無益な記事になっていたら申し訳ありません。

無理やり結論を出すなら、「ウエストがしっかり絞られているけど、体のラインが出すぎて下品にならないくらいが程よい」となります。

こぶし1個分くらい、というのも良い基準だと思いました。

緩すぎずきつすぎず、クラシックの範疇内で、ご自身の好きなシルエットを見つけていくしかないと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました