ジャケットの袖の太さ研究

クラシックのルール研究

こんにちは。ミスターリネンと申します。

今回研究したいのは、ジャケットの袖の太さについてです。

細めか太め、よりクラシックなのはどちらでしょうか?古い映画などでは、太めが多い気がしますが、クラシック=太め、と決めつけてしまって良いのでしょうか?

細すぎも太すぎも、極端なのはクラシックから外れますので、あくまで程よい範囲の中での話です。

細め

最初に確認ですが、今回は袖の太さ、つまり、肩から袖までの太さについてです。

アームホールと言われる、ジャケットの袖と身頃(胸や腹部分本体)との付け根部分の太さではありません。

まず、袖が細めの場合を考えます。

メリットは、腕にピッタリ沿っていて、オーダーで作ったジャケットなんだな、というのが分かりやすいことでしょうか。

既製品の場合は、万人に合う必要があるので、細く作ってしまうと、太い腕の人が買ってくれなくなってしまいます。なので、細めであると、オーダーの可能性が高い、ということです。

デメリットは、窮屈なこと。

特に、肘を深く曲げるときつく感じやすいです。

きついということは、それだけ肘部分にシワができやすいということでもあります。

さらに、きついと暑いです。空気が通るスペースがないので。

スキニーパンツとワイドパンツをイメージしていただくと分かりやすいかと思います。

この写真のジャケットは、比較的細めに作られたもので、肘を曲げるとややきついです。

素材はリネン100%ですが、袖の裏にはキュプラという素材の裏地がついていて、風を通しにくく、かなり暑いです。笑

でも、デメリットだけではありません。

きついことにより、シワがはっきりと刻み込まれ、ヘビーリネン(分厚いリネン)の味が良く出ていると思います。

脇、ひじ、もも、ひざ裏のシワにご注目ください

これが太めの袖になると、もう少し浅いシワになります。

なので、リネン素材に限って言えば、細い袖はメリットが増えます。

太め

太めの袖はどうでしょう。

メリットは、動作が楽なことです。

ジャケットを着る時は腕がスッと通るし、着た後も肘を曲げても窮屈感が無く楽です。

空気も通すので、涼しいです。

デメリットは、野暮ったくなりかねないことでしょうか。

これも程度の問題ですが、あまりに太いと、サイズが合ってないジャケットを着ている感じになります。

また、先ほども触れた、リネン素材の場合だと、シワが浅くなり、味が出にくいというのもデメリットと言えます。

この写真は、先ほどのブラウンの細めの袖のジャケットと全く同じ素材だけど、色が違う生地で、腕の太さを3-4センチほど太くしたものです。

極端に太いことはないと思いますが、どちらかと言えば太めの部類に入ると思います。

全体のシルエット

機能的には、太い方が良いと私は感じます。楽で涼しいからです。当たり前のことになってしまいますが。

では見た目的には、どちらが良いのでしょうか?

ジャケットのウエストの絞りが細め(きつめ)の場合は、袖もそれに応じて細めの方がバランスは良いと思います。

英国スタイルがそのパターンです。

ウエストがゆったりめなら、腕もゆったりめが良いですね。

イタリア、アメリカスタイルがそれですね。(現代のイタリアは細めが主流かもしれません、あくまでこの絵の話です。)

つまり、袖の太さを考える時は、全体のシルエット、特にウエストの太さが重要な要素になってくるということです。

私のブラウンのこのジャケットの場合、背中部分のくびれを見てもわかる通り、ウエストはタイト目な作りです。

それに合わせて、袖もタイトです。バランスは悪くないと思います。

太め袖のオフホワイトの方のジャケットウエストも、ボタンを留めると手のひらがぎりぎり入るくらいのタイト目なサイズ感です。

対して袖は、かなりゆとりがあります。

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袖も極端に太いわけではなく、ちょっと太めくらいなので、バランスとしては問題ないと感じていますが、もう少し細くてもバランス的には良いと思います。

こちらはフランネル素材、それもかなり分厚い素材のジャケットです。

腕の太さはブラウンのリネンと同じ寸法ですが、生地がリネン以上に分厚いので、よりタイトに感じます。

ウエストはオフホワイト同様のタイトさです。

肘を曲げると、結構きついです。

まだ着慣れていないので、あと何年か着ていれば肘部分も多少は伸びて馴染む(大きくなる)とは思いますが。

デザイン的には、もう少し袖は太くても良かったと感じています。(オフホワイトのリネンよりはやや細めくらい)

素材的に、シワもできにくく、細いメリットはリネンより少ないです。

どちらがよりクラシックか

ジャケットの袖の太さを決めるには、素材やデザインも要素の一つですが、ウエストの太さが最も大きい要素になる、というのが私の結論です。

ウィンザー公やチャールズ英国王、イタリアのジャンニ・アニエッリ氏を見ると、当たり前ですがバランスが非常に良いです。細いとも太いとも感じません。

最もクラシックなのは、バランスの良い「程よさ」である、という、参考にならない結論になってしまいます。

私物のブラウンリネンとグレーフランネル(写真は下に載っています)の袖の太さは、クラシックの範疇には収まっているけど、もう少し太い方がよりクラシック、と考えます。同時に、ウエストも、もう少し太い方がよりクラシックかもしれません。

(このスーツを作ってくれたテーラーさんのことはとても信頼しているし、このサイズ感も何の問題もないと思っています。あくまでクラシックの範疇内での個人の好みの話です。)

何度も自分の写真ばかりで恐縮です

私の場合、瘦せ型でウエストも腕も細いので、体にフィットさせようとすると、かなり細くできてしまいます。

パツパツのスーツを着て細さが際立っても、格好良くないし、同時にクラシックでもありません。

痩せている人は、ウエストも腕もあまり体にフィットさせ過ぎず、少し余るな、と感じるくらいが良いのだと思います。

筋肉ムキムキで、腕が太い方は、腕が太いからと言って、袖を細くしてしまうと、パツパツになってしまいます。

そういう方は、袖は腕以上に太く、ゆとりがあるようにした方が、エレガントでクラシックになると思います。

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