リネン、何月まで着ますか?

プロフィール

こんにちは。

ミスターリネンと申します。

ようやく涼しくなってきましたね。(2025年10月前半に書いています。)

夏はリネンシャツを着ていた方も、そろそろコットンに戻し始めるころかもしれません。

夏にフランネルのスーツを着るのがおかしいように、冬にリネンのスーツを着るのは、普通に考えたら変です。

季節感的にはおかしくても、実際は12月に気温が20度近いような日もあり、冬でもリネンが快適な日は確かにあります。

ではいつまでリネンの服を着られるのか。

2つの視点から考えてみます。

機能とイメージ

服の素材が、どの季節にふさわしいか、と言うのは、機能の観点とイメージの観点に分かれます。

機能は、ざっくり言えば着ていて暖かいか、涼しいか。

イメージは、他人からの見た印象のことであり、季節感もそのひとつです。

機能に関しては、着ている本人が快適であれば良いので、他人の意見は一切関係ありません。

真夏にカシミヤのタートルネックにダウンを着て快適に感じる人は、着れば良いだけです。

しかし、イメージというものが邪魔をします。

いくら本人が快適であっても、その季節らしくない素材の服を着ていると、暑苦しい印象、もしくは寒々しい印象を他人に与えてしまいます。

他人からどう思われようと関係ない、という人は良いですが、服が好きな人ほど、季節感を重視されることが多いと思います。

季節感を大事にした格好をすることで、自分自身が四季を楽しむだけでなく、会う相手にもその季節を感じてもらえるような気づかいをしている、という社会的な側面もあると思います。

機能

まずは、機能の観点で、リネンはいつまで着られるのかを考えてみます。

どこに住んでいるかによって話は変わるので、今回の記事では、日本、の中でも東京か、同じくらいの気候の都市に住んでいる前提で考えます。

結論から言えば、リネンの服は、機能的には年中快適に着られると思っています。

その証拠に、シーツ類をリネンと呼ぶように、寝具には元々年中リネンが使われてきました。

私も実際にリネンのシーツ、掛け布団カバー、枕カバーを使っていますが、夏はさらっと涼しく、冬はしっかり熱をとどめてくれて、快適です。

汚い画像を失礼します。

もう少し具体的に見ていきます。

リネンの持つ機能の中でも、速乾性は、年中役に立ちます。

冬でも汗をかくことはしょっちゅうありますし、乾きやすくて困ることはないはずです。

最大のデメリットは、風を通しやすいことです。

冬に風が強い日に、全身リネンの服はきついです。

ですが、全身でなくても、リネンのシャツを着て上にカシミヤのニット、その上にレザーのブルゾン、という格好をすれば、リネンの機能性は活かしつつも、風を通さない暖かい格好になります。

こういう格好の場合、コットンシャツやウールシャツでももちろん快適ですが、リネンには空気の層が生まれやすいので、体温を外に逃がさない保温効果もあります。だからこそ寝具にもリネンが最適なのです。

また、リネンの生地と言っても、リネンシャツのように肌が透けるくらい薄く、隙間だらけ(風を良く通す)の生地もあれば、コートに使われるような重厚な、ぎっしり詰まったリネン生地もあります。

薄いリネン。乳首が透けてしまいます。
380gほどの厚いリネン。コートにはさらに分厚いリネンが使われます。

生地が詰まっているほど、風を通しやすいという冬のデメリットが軽減されます。

その反面、涼しさや速乾性のメリットは落ちるし、ガシガシと硬い生地にはなりますが、見た目が格好良いのと、強風過ぎなければ十分に暖かいです。

リネンには、リネンシャツやリネンスーツだけでなく、ニット、ブルゾン、コート、マフラー、と様々なアイテムがあります。

全身リネンでなくても、どこか1アイテムだけなどで、リネン生地の厚さにも注意すれば、冬の寒い日にリネンを着ることは、快適な選択肢であると言えると考えます。

それに、リネンと言っても、リネン100%の生地もあれば、リネン混で他の素材が混ざった生地もあります。

リネン100%が最も涼し気があり、他の素材が混ざるほど涼しさは控え目になるので、リネン100%の服が年中着られるならば、それ以外の素材が混ざっている生地も、当然年中着られると考えてよいことになります。

コットンリネンのシャツ
リネンウールのジャケット。サマーツイード。

余談ですが、BEAMSの中村達也さんがどこかのメディアでおっしゃっていたことで、W. BILL(ダブリュー ビル、ウィリアムビル)という英国の老舗生地屋の社長は、冬でもリネンのマフラー、リネンのコートを着るなど、年中全身リネンで過ごしているので有名、という話を聞きました。

イメージ(季節感)

リネンの服は、機能的には年中快適に着られると述べましたが、イメージ、季節感的にはどうでしょうか。

私は個人的には、冬にリネンスーツを着ている人を見たら、無条件で友達になりたいと思ってしまいますが、通常はリネンを寒い季節に着ると、季節感が無いと思われてしまいかねません。

ですが、ここは熱帯の日本であるという現実を忘れないでください。

真夏にカシミヤのニットを着るのも、同じように季節感が無いことだと思いますが、ヨーロッパでは、夏の朝晩に、カシミヤニットを着たり、薄いレザーの服を着たりすると聞きます。

それは、朝晩は夏でも割と気温が下がるのと、湿度が低いから、機能的観点からカシミヤやレザーが快適だからだそうです。

実際に、ヨーロッパブランドで、春夏シーズンのアイテムでカシミヤやレザーは普通に展開があります。

私の想像ですが、ヨーロッパで、真夏の快晴の日にビーチでカシミヤニットを着ていたら季節感が無い暑苦しい奴と思われるとしても、朝晩であれば、実際に快適そうに見えるから、誰からも変に思われないのではないでしょうか。

でもそれを日本にそのまま適用して、真夏の東京の蒸し暑い夜に、カシミヤのニットを着て散歩していたら、ただの変な人ですよね。

つまり、実際に機能的に快適であれば、季節感がある、というのが本来あるべき姿なわけです。

近年では世界中の天候の差が縮まっているかもしれませんが、乾燥した快適なヨーロッパと、熱帯の日本では、同じ季節でも快適な服装は全然違います。

ヨーロッパ水準の季節感を基準にするのではなく、日本の気候にあった季節感を基準とするならば、リネンを着て良い季節は、ヨーロッパよりぐっと長くなるはず(べき)です。

例えばリネンスーツは、10月はもちろん、11月、12月でも、寒くない日には着ても快適なので、季節感的にもおかしくない、と思われるべきです。

そうあって欲しいと私は願っています。

きっと、今はまだリネン=夏、というイメージが日本では強いですが、何年か何十年か後には、イメージも大きく変わる可能性も十分あります。

スエードの革靴だって、昔は秋冬にしか履かない人がほとんどだったと聞きますが、今では春夏にも普通に履かれますよね?

それと同じで、日本で多くの人がリネンを冬でも着るようになれば、きっと世間のイメージも変わってきます。

日本だけでなく、ヨーロッパでも温暖化が進んでいるので、ヨーロッパの人達も秋冬にどんどんリネンを着るようになるかもしれません。

まとめ

長々と述べましたが、簡潔にまとめると、

リネンは年中快適だ!リネン=夏、というイメージを取っ払ってくれ!

という私個人の願望のような内容だったかもしれません。

リネンに対するイメージは、私一人がどう頑張っても何も変わりませんが、ミスターリネンという名前でブログを始めた以上、微力であっても、リネンが年中素材というイメージが広まるよう、発信を続けていきたいと思っています。

以上です。

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