こんにちは。ミスターリネンと申します。(いきなり裸足での登場失礼します。)
7月某日、南青山にサロンを構える Atelier BERUN(アトリエベルン) さんに初めて行き、ツイードジャケットとコーデュロイのスラックスをオーダーしました。
約2か月経ち、作品が完成したので受け取りに行ってきました。
この記事では、オーダーの流れと、完成品紹介をいたします。
アトリエベルンでオーダーした理由
私はこれまで、ミケーレシンさんという、イタリアナポリ近郊に工房があり、日本の銀座にサロンを構えるテーラーでスーツをオーダーしていました。
ミケーレシンさんの作品は、着心地が良いのはもちろん、見た目が美しく、とても気に入っています。
参考記事
今後もミケーレシンさんでオーダーをさせてもらおうと思っていますが、今回アトリエベルンさんにお願いしようと思った理由は、ブリティッシュが気分だったからです。
クラシックな着こなしを極めたい、と考えている自分は、落合正勝氏をはじめとする、クラシックの大家の書籍を読みあさり、クラックの勉強を常にしています。
勉強を進めるほどに、ブリティッシュなスタイル、つまり、柔らかくナチュラルな印象のイタリアスタイルと反対の、比較的お堅めなスタイルをしたいと思うようになりました。
コーディネートも、シャツに柄を入れたり、ネクタイを敢えて小剣の方が長くしたり、というアレンジを一切入れず、教科書通りのスタイルが格好良い、と思うようになってきたのです。
アトリエベルンの竹内大途さんは、インスタグラムやYouTube、ブログ等でスタイルと考え方を発信されていますが、今の時代らしくない、クラシックな男としての生き方、着こなしを実践されていて、とても魅力的に感じました。
スーツの着こなしを見ていると、ご自身もおっしゃっていましたが、まさに英国スタイルです。
一度会ってお話をしたい、自分に服を見立ててもらいたい、と思ったので、訪問することにしました。
初訪問の日
HPから来店予約をし、南青山のヴィンテージマンションにあるサロンに伺いました。
今っぽさが全くないけど、とても素敵で、格好良い服や靴やカバンや生地がそこら中に置かれた、天国のような空間でした。
まずは自己紹介を兼ねて軽く世間話をし、オーダーしたい内容を伝えてから生地選びに入りました。
ちなみに今回は、柄物のツイードジャケット、と伝えました。
生地はバンチと呼ばれる小さい布の切れ端ではなく、実際に使うロール状の生地が壁一面に並べられています。
生地が大きいのでイメージがわきやすいし、1点物の中から好きな生地を探すのがとても楽しいです。
しかし、探しながら驚くことがありました。
これまで私がオーダーを経験してきた限りでは、数多くの生地から自分で好きな生地を選んでいましたが、アトリエベルンでは、基本的にオーナーである竹内さんがピックした複数の選択肢の中から一つに絞る、というスタイルです。
実際に、竹内さんがピックした生地と、私が自分で良いと思った生地は、あまり一致していませんでした。
これまでの自分であれば、自分で選んだ生地に無理やりしてもらっていたかもしれませんが、竹内さんの選択肢から今回は選ぶことにしました。
何故そうしたかというと、竹内さんのセンスやスタイルを信じているからです。
今までの自分のスタイルを一度捨てて、任せてみよう、と思ったのです。
実際に選んだ生地が、ラバットというツイードの名門生地屋のこちらのもの。ツイードといってもハリスツイードくらいしか知らなかったので、お任せにしたおかげで、素敵な生地を知ることが出来ました。
ポケットの形や、ラペルの幅、ボタンや裏地の種類なども、一切選びませんでした。
今までは、事細かに自分の好みを伝えていたので、自分にとっては初めての経験でした。
スーツのオーダーは、自分の気に入るスタイルのテーラーを選べば、後はすべてお任せにすると上手くいきやすい、と聞きますが、きっと真実だと思います。
参考記事
これまでに自分のセンスでディティールを決めたスーツは、「ここをもう少しこうすればよかった」とやや後悔している箇所が実際にあるので、実体験としてそう感じます。
ちなみに、ジャケパンとしてのオーダーだったので、スラックスの生地も選ぶ必要がありました。
最初はベージュのフランネルを勧められましたが、同じ生地のスラックスを既に持っていたので、別の生地でとお願いしたところ、こちらのコーデュロイを紹介してもらいました。
とてもカントリーな感じで、野暮ったさが素敵です。
生地を決定したら、ジャケットと同様、何も選ぶことなく終了しました。
ちなみに、私はスラックスは総裏地が良いと思っているので、そこだけお願いしました。
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完成の日
オーダーの日に、追加料金を払った上で仮縫いもしたい、という希望を伝えていました。
しかし、一発で完璧に仕上げる自信があるので、仮縫いはいらないですよ、と言われました。
お店としては、仮縫いをしても利益にはなるはずなので、それでも不要と言われると、安心できます。
それから約2か月が経ち、完成の連絡があったので、再度来店予約をして訪問しました。
完成品がこちら。
実際に着てみると、この通りです。生活感&裸足&タイ無しで失礼します。
今まで着てきたジャケットの着丈が74センチだったのですが、こちらは76センチ。
肩パッドもそれなりに入り、ウエストの絞りも程よく、背中も綺麗で非常に美しいバランスだと感じます。
ラペルは若干カーブしているように見えます。でもこれ見よがしではなく、気持ち曲がっているかな?というくらいなのが良いです。
2つボタン1つ掛け、サイドベンツ、フラップ付きポケット、チェンジポケットも無し。
まさにクラシックど真ん中ではないでしょうか?
仮に私が自分でディティールを決めていたとしたら、3つボタン中1つ掛け、サイドベンツ、パッチポケット、にしていたでしょうが、それはクラシックを知りもせず、お洒落な人がやっているのを何となくマネしているだけです。
テーラーお任せにして正解です。
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ちなみにボタンホールは手縫いです。オプション料はかかっていません。
ボタンホールが手縫いというのは、「良いジャケットだぞドヤ」という感じが出がちな気がしますが、このボタンホールは、良く見ないと分からないくらい、というかほぼ誰にも気が付かれないくらいの手縫い感なので、その大人しさが私には好みでした。
スラックスは今回のオーダー品はコーデュロイですが、ベージュフランネルのスラックスもバッチリはまります。
デニムに合わせると、合わなくはないけど、難易度が上がる気がします。
(後日追記、デニムにも合わせてみました。)
色々なズボンに合わせて、雨の日でも気にせず着まくり、味を出していこうと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
個人的にはこれまでイタリアンスタイル一辺倒だったので、ブリティッシュスタイルは新鮮でしたが、とても格好良いと感じます。
気になるお値段ですが、上下セットで、20万円台後半でした。
安くはないですが、オーダースーツを作ってもらえるだけでなく、自分の着こなしを一歩前へ進めてくれる、という価値も含まれていると考えると、妥当な値段だと思います。
敢えてマイナスになりうることを言いますが、自分のスタイルやこだわりが確立している方には、アトリエベルンは向いていないかもしれません。
そうではなく、クラシックを学んでいきたい、着こなしにもそんなに自信が無いから、自分に似合う服を見立てて欲しい、という方には、自信を持っておすすめできます。
私は自分の凝り固まった価値観を壊してくれたので、お願いして良かったと心から思っています。
ブリティッシュスタイルが好きな方、クラシックど真ん中を進みたい方、ぜひ行かれてみてください。
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