こんにちは。ミスターリネンと申します。
腕時計の色味は、シルバー系(ステンレス、ホワイトゴールド、プラチナ)、黄色系(イエローゴールド)、ピンク系(ピンクゴールド)の3つが主流です。
色ではなく素材に目を向けると、金無垢やプラチナなどの貴金属か、ステンレスに大きく分かれます。
チタンやセラミックなどもありますが、例外として今回は考えないことにします。
金無垢でもステンレスでもない中間に位置するのが、金メッキです。
ヴィンテージの時計でも、現行の時計でも、金メッキの時計は多く存在します。
どちらも同じ値段なら、誰だって金メッキより金無垢を選ぶに決まっています。
でも、金無垢はとにかく高いですよね。
手ごろな値段で、金色の時計を楽しむことができるので、金メッキは素晴らしい技術だと思います。
しかし、金メッキにはいくつか問題があります。
果たして金メッキの時計は買ってよいものなのか、考えてみます。
目次
金メッキの種類
一口に金メッキと言っても、いくつか種類があります。
まずはメッキの内側の、土台となる素材です。
最も多いのが、ステンレスです。次に多いのが、真鍮でしょうか。
例外として、銀無垢(シルバー925)という場合があります。
これは、1970-90年ころに多く作られた、カルティエのマストタンクシリーズで採用される手法で、ヴェルメイユ加工と言われます。
銀無垢の時計ケースの上に、分厚めに金のメッキを施すのです。
金メッキの内側も、金ではないけれど、一応銀という貴金属なので、ステンレスや真鍮よりは高級と言えると思います。
メッキの内側の区分は以上ですが、今度はメッキ自体に目を向けます。
Gold Filled, Plated, Plaqueなどの名前があるらしいですが、要するに違いはメッキの分厚さです。
~ミクロン以上が~、という具体的な区分は分かりませんが、とても薄いメッキもあれば、分厚めのメッキもあるということです。
当然分厚い方が使われる金の量も多いので、はがれにくく、見た目も金無垢に近づくので、高級です。
とはいっても、1ミリまで行くことは私の知る限りなく、恐らくすべてミクロンの世界です。
メッキのかけ方ですが、素人の私は、金が溶けてお風呂みたいになっているところに、ケースをぽちゃんと沈めるチョコフォンデュのようなのをイメージしてしまいましたが、間違っていました。
詳しくは分からないのですが、静電気を使ったりして、難しい技術でメッキをかけているようです。
金メッキのメリット
金メッキのメリットは、安価に金色を楽しめるということです。
金無垢より重量が軽くなりますが、時計自体が大した重量でもないので、軽いことはメリットにならないと思います。
金は柔らかい、金無垢だと強度が落ちるからメッキの方が良い、という説もありますが、ぶつけるほど激しく使う時計なら、たとえステンレスに金メッキをしていたとしても、ぶつけた衝撃でメッキがはがれるので、強度も金メッキであることのメリットにはならないと思います。
金メッキのデメリット
金メッキのデメリットは、いくつかあると考えています。
いつか剥がれる
ぶつけてしまった時に剥がれる。傷を落とすために研磨するとメッキが薄くなり、やがて完全になくなってしまう。研磨しなくても、汗を拭きとる時などに柔らかい布で優しくぬぐうだけでも、わずかに薄くなる。
見た目が金無垢と全く同じではない
金無垢と金メッキを並べると、どうしても違いが分かってしまいます。よほどの目利きでないと、単品で見てパット気づかれることは無いですが、気になる人は気になるかもしれません。
自己満足に浸りにくい
これは、私個人の感想ですが、金無垢って、それだけで何だかいい気分になりませんか?金メッキだと、偽物というわけではないのですが、テンションがあまり上がりません。
その感覚が世俗的というか、表面的というか、浅はかなのかもしれませんが、私はそう感じてしまいます。
変色することがある
これはカルティエのマストタンクシリーズに顕著なのですが、中が銀無垢だと、中の銀の変色に伴って、外側の金メッキまで変色してきます。
銀はとにかく変色しやすいです。シルバーアクセサリーをされる方は良くご存じだと思いますが、すぐに黒ずんできますよね。
銀の上にいくら分厚いメッキを施していても、結局は薄いメッキです。変色を封じ込めるほどの厚さは無いということです。
ただ、金無垢でも、変色は起こり得ます。長年放置していると、茶色っぽくなります。
とはいえ、磨けばきれいにはなりますが、メッキは磨きに向いていないので、変色したらどうしようもありません。
再メッキという手段
たとえ剥がれや変色が起こっても、再メッキをするという手段があります。
一度メッキを綺麗にはがして裸にし、再度メッキをかけるのです。
化粧と同じで、どんどん上に塗り重ねてはだめで、一度洗顔して素肌に戻さないと、綺麗にメッキが乗らないようです。
料金はお店によりますが、2万円~5万円くらいと幅が大きいです。
マストタンクシリーズの場合、時計自体が20-40万円くらいなので、再メッキをかけるのは、私ならかなり抵抗があります。
マストタンクシリーズの注意点については、こちらの記事に詳しくまとめてあります。
まとめ:金メッキの時計はどうか
比較的安価というメリットと、様々なデメリットを考慮して、金メッキの時計は買いなのでしょうか?
皆様はどうお考えでしょうか?
私は、あえて二者択一ではっきりとした結論を出しますが、買ってはいけないと考えます。
実際に私は、金メッキの時計をこれまで5本買いました。
どれも、デザインが好きだから買いました。
しかし、上で述べたデメリットがどうしても引っかかり、その時計を100%好き、と思えず、70%くらいの好き、にとどまってしまうのです。
だったら、5本分の値段で、1本金無垢を買えば良かったとも思います。
持っている唯一の金無垢時計であるレベルソは、100%大好きです。
私は俗物なんです。
参考記事
特に、マストタンクシリーズの変色は、非常に気に入りません。変色のせいで、顔は好きなのに、時計として40%くらいの好き度合に下がります。
20年くらい経って変色するなら、まだ良いですが、たったの数年で変色してしまい、そんなに頻繁に再メッキの費用を払えるはずがありません。
しかし、こちらの時計だけは、金メッキだけど95%くらい好きです。
文字盤の表情が150%くらい好きなので、メッキのマイナスをカバーしてくれるからです。
でも、金無垢だったらなあ、というわずかなしこりが残っているのも事実です。
なので、私は金メッキの時計はおすすめは出来ません。
というのが今回の結論でした。
コメント