伊製フルハンドメイドのスーツが13万円で作れるテーラー

オーダー

こんにちは。ミスターリネンと申します。

今回は私がおすすめしたいテーラーさんをご紹介します。

私はスーツ全般、クラシック全般が大好きで、大好きだからこそ日々楽しく勉強していますが、ただのアマチュアです。

そして平均的な収入のサラリーマンなので、国内外多くのテーラーでオーダーしてきた経験があるわけでもありません。

なので、他のどのテーラーより優れていて、ここが世界で一番だ!と断言するつもりはありませんが、少なくとも私は心からおすすめできます。

ミケーレシンさんの特徴

そのテーラーさんの名前は、MICHELE&shin、ミケーレシンさんです。

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特徴を一言でまとめると、イタリア製、フルオーダー、フルハンドメイド、美しさ重視。

オーナーご自身がおっしゃっていました、トヨタのような誰もが認める素晴らしい工業製品に対して、うちはアルファロメオのようなものと。

工房はイタリアナポリ近郊にあり、しばしば癖が強いと言われるナポリっぽいデザインがメインです。

そして、いわゆるフルオーダーと呼ばれるものです。

ゲージと呼ばれるサンプルサイズの型紙(パターン)をベースにし、その人の体に合わせて各寸法を調整するのが、パターンオーダー。

サンプルは無く、完全にゼロからパターンを起こしてその人に合わせて作るのが、フルオーダー。

フルオーダーの方が、金額も時間もかかります。

パターンかフルか、という区別とは別に、機械で縫うか、職人が手で縫うか、という区別があります。2×2で、オーダーは大きく4通りに分かれます。

フル×ハンド

フル×機械

パターン×ハンド

パターン×機械

ハンドと言っても、ハンドと機械を混ぜて縫っているところが世の中ではほとんどらしいです。ミケーレシンさんが100%ハンドなのか、90%なのか、60%なのか、私には知り得ませんが、かなり高い割合でハンドメイドあることは、作品を見ると感じます。

驚きのコスパ

フルオーダー×ハンドメイドとなると、日本では50万円くらいが相場でしょうか。海外製となると、さらに高くなります。

それを、22万円で提供されています。

新規のお客様は初回限定で、約13万円でオーダーすることが可能です。

私は回し者でもなんでもないですが、あり得ないくらい安いと思います。

ミケーレシンさんのHPの情報によると、イタリアではスーツのオーダーが一般的であり、価格面でもそこまで敷居が高いわけではないようです。

現地価格で1500ユーロくらいだそうです。

それを、遠い日本でも同じくらいの敷居の高さでやってくれるという、企業努力というか、精神に感謝です。

オーダーの簡単な流れ

オーダーの簡単な流れですが、電話、HP、LINEでまずは来店予約をします。

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初来店時に、テーラーさんと十分に雑談をし、人となりを何となくでも伝えます。

その後一緒に生地を選んだら、どんな形、ディティールにするかを話し合います。

それをもとに、テーラーさんがスーツの仕上がりを絵にします。この絵がとても素敵で、仕上がりに期待が膨らみます。

次に採寸です。脇の周囲など、かなり細かいところまでしっかり採寸してくれます。

イタリアにいる職人さんたちに伝える為、本人の写真を前から、横から、後ろから撮り、最後に立った状態でぐるっと一周回転する動画も撮ります。

職人が見れば、体のクセやバランスが分かるらしいです。

初回来店から2か月ほどで、仮縫いが到着します。仮縫いとは、実際に生地を縫い合わせる前に、軽く縫い合わせた状態のスーツを試着し、細かいサイズ調整をし、本縫いに入るためのステップです。

仮縫い後、さらに2か月ほどで作品が到着します。もしそこでも、フィッティングで気になるところがあれば、再度調整も無料でしてくれます。私の場合、1着目は2回くらい追加で調整してくれました。

2着目以降のオーダーでは、1回の仮縫いだけでバッチリフィットした作品が出来上がりました。

びっくりしたのが、自分の体型が変わってしまっても、無料でお直し対応をしてくれることです。

私はウエストが少し大きくなったので、実際にズボンのウエスト出しをやってもらいました。

実際にオーダーしたもの

私はこれまで合計で3回、ミケーレシンさんにオーダーさせてもらいました。

スペンスブライソンという生地屋の、分厚いアイリッシュリネンのスーツが2着。フォックスブラザーズという生地屋の、分厚いフランネル生地のスーツが1着です。

ディティールを簡単に説明すると、ズボンは、すべて2タック、ベルトレス仕様。タックの向きはインとアウト両方あり。

サスペンダーで吊る用のボタンはすべてあり。裾幅は21-24センチと太め。

ジャケットは、リネンの2着がパッチポケット仕様。フランネルは玉縁ポケット仕様。

真ん中のベージュのリネンジャケットは、ノーベント、それ以外の2着はサイドベンツです。

ナポリらしさ

全体の印象として、ナポリらしさが全面に出ています。

分かりやすい特徴が、肩の付け根にギャザーが寄っているのが分かる、マニカカミーチャと呼ばれる仕様。ミケーレシンさんはマニカマッピーナが正しい呼び方だと言われていますが、ここでは一般的な方を使います。

他にも、全体的にステッチを見せていること。ステッチが2列でダブルステッチになると、さらにナポリらしさが出ます。ステッチはハンドでやっているため、良い意味で不均一で、ハンド感が良く出ています。

また、ボタンホールも手縫いです。フラワーホールのこの仕様は、ミラネーゼというらしく、名前からすればナポリではなくミラノ、ということになりますが。

全体的なシルエットは、ウエストがかなり絞られていて、袖も比較的タイト目、体にフィットしています。

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誤解の無いように記載しますが、上記の特徴は、あくまでも仕様の一つです。

オーダーする人が、ナポリっぽさは出したくないから、マニカカミーチャも、ステッチも、ミラネーゼフラワーホールも無しが良い、ということであれば、対応してくれます。

特にこだわりがなく、ミケーレシンさんに任せたい場合は、ナポリらしい仕様になることが多いはずです。

フルオーダーに感動

前の項目で紹介したナポリらしいディティールはさておき、何よりすごいのが、スーツそのものの造りです。

全体的に、「丸い」という印象があります。

英国の構築的な造りに対し、柔らかく自然な造りが特徴のナポリスーツですが、ミケーレシンさんのスーツもまさにそうです。

人の体に直線は無い。らしいですが、そのような人体を自然に優しく包むような柔らかな印象があります。

私が造ってもらった3着はどれもウエストがタイト目な造りですが、ナチュラルな肩~ウエストの絞りにかけて、きれいに曲線を描いています。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_5748-1-901x1024.jpg

私の体型の場合、若干怒り肩で、肩幅とバストに対しウエストが貧相なので、絞りが強くなりすぎて、肩甲骨のあたりにツキジワと呼ばれるシワが入りやすいです。

既製品はもちろん、オーダースーツでも、ツキジワが入ってしまうことがしばしばありました。

ミケーレシンさんの作品は、背中がとても綺麗に仕上がっていると感じます。

テーラー選び、難しい

必ずしも欧州の名テーラーに行かなくても、日本にも優れたテーラーさんは沢山います。

でも、実際にオーダースーツを作ろうとなると、どのテーラーが良いか、選ぶのが難しいですよね。

良く言われることかもしれませんが、そのテーラーの作品を見て、自分が好きと思えるかどうかを基準に選べばよい、と私は思います。

どのテーラーでも、ここはこう、とディティールを細かく指定すれば、対応はしてくれるところがほとんどだとは思います。

しかし私のようなアマチュアの場合は特に、これまで気にもしなかったようなところに、注意点があるケースがあります。

私の例になってしまいますが、フロントボタンと腰ポケットの位置の関係について、最近初めて知ったことがあります。詳細は以下の記事にまとめています。

「ジャケットの腰ポケットの上辺は、一番下のボタンと同じ高さでなければならない?」

スーツのすべてを知り尽くした人でない限り、たまたま知識を得たから1つのディティールをやってみたい、と思っても、他の部分とのバランスも考えつくされていないと、全体バランスに悪影響が出てしまうこともあります。

なので、変にディティールを指定するのではなく、なるべくテーラーさんのお任せにする方が、長い目で見て気に入ることができる良い作品ができると思います。

最終的には、そのテーラーさんのセンスで作品が出来上がります。作品が好きだと思えるテーラーを選び、生地と、ダブルかシングルかくらいは自分で選び、他はお任せ、くらいが良いのでしょう。

故落合正勝氏も、自分の信頼するテーラーにいちいちディティールの指定はしない、と書籍内で言っていました。

まとめ:ナポリっぽいデザインが好きな人には、超おすすめ

上述した理由から、ミケーレシンさんは、誰にでもおすすめできるわけではありません。

英国的なスーツがお好きな方でしたら、他のテーラーさんの方が良いかもしれません。

繰り返しになりますが、お願いすれば、ミケーレシンさんでも英国的なデザインも対応はしてくれると思います。

が、餅は餅屋じゃないですが、得意なスタイルの方が、より良い作品になるのではないかという私の勝手な意見です。

ナポリっぽスーツが好き、ハンドメイド感があった方が好き、という方は、ぜひ一度チェックしてみてください。

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