こんにちは。ミスターリネンと申します。
ある程度以上服に関心がある方にとって、ネクタイの結ぶ際、ディンプルと呼ばれる窪みを作ることは常識かもしれません。
紳士のVゾーンは立体感が命、ディンプル無しでネクタイが真ん中に存在するだけで、のっぺりとした印象になってしまうから、ディンプルは必須である、というわけです。
国内外問わず、おしゃれな人はほぼ100%ディンプルを作っているように見えます。
ところが、イタリア一の伊達男と呼ばれた、ジャンニ・アニエッリ氏の写真で、ディンプルが無い、もしくはとても小さいものがいくつも見つかりました。
彼クラスになると、ディンプルが無くても十分格好良い、というより、ディンプルが無いことで、気合が入りすぎていない感があり、逆に格好良くも見えます。
果たして、ネクタイにディンプルは必須なのか、それを今回は研究します。
ディンプルは必須
最初に結論です。
基本的にはディンプルは必須。しかし、クラシックを知り尽くしたベテランなら、敢えてディンプル無しもあり。
そもそもディンプルが必要な理由は、Vゾーンに立体感を出すため。
それを敢えて無しにするメリットは、今の言葉で言えば「抜け感」が出ること。つまり、気合が入っていない感じが出ること。
しかし、超上級者向けだと考えます。
ディンプル無しの実践者
冒頭で述べたジャンニ・アニエッリ氏以外に、私が信奉する落合正勝氏も、ディンプル無し、もしくは入っていてもとても小さいディンプルの写真がいくつかありました。
ジャンニ・アニエッリ氏は、普通にディンプルが入っている写真も見られるので、朝何となくネクタイを結び、たまたまディンプルが入ったら入ったで、入らなかったらそれはそれで気にしない、というナチュラルさが伝わってきます。
落合正勝氏も同様ですが、著書を読むと、このような記載が見つかります。
「エクボ(ディンプル)は、クラシックな表現とは何の関係もない。ただ立体感のない着こなしにやや立体感を、あまり上質でないネクタイに、いささかの上質感を加える効果はある。」
シングルノットは首まわりが貧相に見える、とも書かれているので、ディンプルを特に意識せず、ノットもざっくりと大きめに結ぶのが好みだったと思われます。
両者に共通するのが、イタリアスタイルであること。落合氏は日本人ですが、彼の書籍に登場するスーツブランドは、ほぼすべてイタリアです。
両者ともクラシックを知り尽くしていると思いますが、英国スタイルと比べて、ナチュラルさが際立つ印象です。
英国に目を向けて、チャールズ英国王やウィンザー公を見てみましょう。
イタリアスタイルの両者と比べれば、ディンプルがしっかり入っている率は高いですが、それでも時々ディンプルがほぼない写真が見られます。
昔のネクタイはディンプルが作りにくかった、ということは恐らくないので、ディンプルを作ることをさほど意識していないのでしょう。
これまで見たように、クラシック上級者であれば、ディンプル無しでもキマるようです。
ディンプルの種類
ディンプルと一口に言っても、その種類は一つではありません。
代表的なのが、真ん中に1つ窪みを作るスタイル。
もう一つが、サイドに2つ窪みを作るスタイル。
他にもあるかもしれませんが、主にこの2つだと思います。
私個人としては、窪み2つスタイルを選択します。なぜなら、不器用で窪み1つが作れないからです。やろうとしても、窪みが浅すぎて、窪みではなくただのシワになってしまいます。
慣れもありますが、窪み2つの方が圧倒的に簡単と感じます。
クラシック的には、どちらでも良いのだと思いますが、窪み2つスタイルは、「作りこんでる感」のようなものが出やすい気がするので、出来る方ならシンプルに窪み1つの方がベターではないでしょうか。
余談
ネクタイを結ぶとき、手のささくれが引っかかってネクタイを傷つけてしまったことがある方、少なくないと思います。
落合正勝氏は、ネクタイを結ぶ時、専用の裏地無しの革手袋を使っていたそうです。
良い手袋は、つけていても素肌と何ら変わらない感触でモノを感じられる、的なことを著書で書かれていました。
ネクタイを結ぶ用の革手袋を持つとは、さすがですね。そんな男になりたいものです。
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